2000年代に成人となった1980年以降に生まれた世界中の「ミレニアル世代」を対象にした意識調査が公表され、日本のミレニアル世代は、企業への帰属意識の低下や政治・経済の改善に悲観的な見方を示すなどの特徴があることが分かった。デロイト トーマツ コンサルティングが世界各国で調査したもの。

調査は1982年以降に生まれ、大学卒業後に企業で働く者を対象としている。30カ国、約8000人へ調査を行っており、日本の回答者は300人である。

帰属意識が低下、フリーランス志向も強い

ミレニアル世代
(写真=PIXTA)

所属企業への帰属意識調査では、現在の所属企業に勤務する期間について、最大2年間との回答が30%となった。ミレニアル世代の3割が2年以内に所属企業を去る事を考えており、昨年と比較すると2ポイント上昇している。全世界では同回答が38%となっており、日本と比較して高い水準にあるが、昨年比では6ポイント減少している。世界的に帰属意識が高まる一方、日本のミレニアル世代の帰属意識は低下している。

正規雇用とフリーランスのどちらを好むかという問いに対しては、フリーランスと回答した割合は33%であった。全世界では31%となっており、日本のミレニアル世代はフリーランスを志向する傾向が強い。また、正規雇用との回答は58%であり、全世界の65%を下回る。ランサーズの調査によると、国内フリーランスの人口は専業、兼業併せて1064万人となっており、増加傾向にあるが、ミレニアル世代が増加を支えていると見られる。

勤務形態についても柔軟さを求める傾向にあり、柔軟な勤務形態が「ワークライフ・バランス」や「健全な生活、健康、幸福度」等に良い影響を与えると多くのミレニアル世代が考えている。

インターネットの普及やIT技術の進歩と歩みを共にしてきた日本のミレニアル世代は、所属企業や勤務形態に縛られる事を嫌い、自由を求める傾向が強い。

悲観的に物事を捉える傾向が強い

日本のミレニアル世代は悲観的であるという特徴も持つ。今後12ヵ月間で自国の経済的状況の改善に期待する割合は18%となっており、社会的・政治的状況の改善についても、期待する割合は17%である。全世界ではそれぞれ期待する割合が45%、36%となっており、数値の開きは非常に大きい。

AIやロボット技術の活用による業務の自動化についても、「全体的な生産性が改善する」と考える割合は49%、「経済的成長が改善する」と考える割合が36%となっており、それぞれ全世界の62%、53%と比較すると低い水準である。日本のミレニアル世代は自動化技術についても、世界と比べ悲観的に見ている事が分かる。

ミレニアル世代は成長過程がバブル崩壊後の「失われた20年」と被る世代である。そうした環境下で育った事が、悲観的な価値観を醸成したと考えられる。

総務省統計局の「人口推計」によると、2017年3月時点でミレニアル世代にあたる、15〜34歳の人口は2500万人に上る。自由を愛し、悲観的であるミレニアル世代は今後経済活動の中心となる。ミレニアル世代の特徴をしっかりと掴まなければ、日本の現状を見誤る事になる。(ZUU online編集部)