家を持つことを目標としている世帯も多いことから、「平成25年住宅・土地統計調査(総務省統計局)」での日本の持ち家比率は61.7%という高い割合となっています。持ち家世帯主率については65歳以上で約8割となっており、不動産が相続対象となることが多いことがわかります。今回は、相続に困らない持ち家対策についてお伝えします。

不動産相続での問題

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(写真=Ravital/Shutterstock.com)

相続権は、民法で規定されている法定相続に従うと、例えば夫婦と子ども2人の家庭の場合で世帯主が死亡したとき、配偶者が2分の1、残りの2分の1を子ども2人で均等にそれぞれ4分の1ずつ相続する権利があります。

配偶者がいる場合は、子どもが相続放棄や遺産分割協議によって配偶者へ不動産を相続することに同意すれば特に相続に対するもめ事は発生しません。しかし、この配偶者が後に死亡したとき、子ども2人が均等に相続する権利があるため、不動産の相続をめぐって争いが起こる可能性が高くなります。

相続税も大きな問題となることが多いので、対策が必要です。相続税には、そもそも基礎控除額があり、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」が課税価格の総額から控除されます。この控除後の金額を課税遺産総額といい、これを法定相続したときはその割合で案分します。そこから各相続人の加算や控除を行い、最終的な相続税の金額が決まります。

配偶者の場合、実際に取得した財産が1億6,000万円まで、もしくは法定相続分相当額までは非課税となります。「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」によって、相続税が少なくなる可能性もあります。

生前贈与の活用例

不動産を生前に贈与する場合の活用例として、自分が所有している不動産の帰属について被相続人自身が決めることができるというメリットがあります。

夫婦が自宅として使用していた不動産しか、めぼしい財産がない場合を例に考えてみましょう。複数の法定相続人が存在したとき、法定相続によって遺産分割をするために不動産を売却して金銭に換える必要が出てきます。売却すれば当然、配偶者がその不動産に引き続き住むことができなくなります。このような事態を生前贈与により回避できます。

不動産について生前贈与する場合、以下のような税金面での優遇措置があります。

● 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
婚姻期間が20年以上を超える夫婦の間で居住用不動産などを贈与した場合、基礎控除110万円にプラスして最高2,000万円まで控除することができます。この制度は住むために贈与されたことが必要なため、贈与を受けた翌年3月15日までに住んでおき、引き続き住む予定であることが条件になっています。

● 相続時精算課税制度を利用する
60歳以上の父母または祖父母から、20歳以上の子や孫に相続財産を贈与する場合に選択できる制度です。この制度を利用すると限度額2,500万円まで控除され、これを超えた額について一律20%の贈与税がかかります。

今からできる不動産相続の備え

生前贈与しない場合、今からできる不動産相続の備えはどのようなものがあるのでしょうか。この場合、所有している不動産を誰か特定の人に譲り渡したいかどうかによって、対策の必要性が変わってきます。

例えば、不動産といっても居住用に使用しているものもあれば、製造業を営んでいる場合は工場などの事業用不動産もあり、種類はさまざまです。居住用の自宅不動産は配偶者に、事業用不動産は事業を引き継いでいる子に相続させたいという場合、法定相続ではすべてを手に入れることができないものを遺言によって引き継がせることができます。

民法では自筆証書遺言といって、形式をきちんと満たしたものならば、自分の手書きによって遺言を作成することが可能です。費用は一切かからず、いつでも書き直して内容を変更が可能であるというメリットがあります。残された家族が困ることのないように、こうした備えをしておくと万が一の場合にも安心でしょう。

相続対策は準備が大切

相続は自分が死んでしまった後に行われるため、自分の思い描いた相続にならない事態も想定されます。そのため、早めにしっかり対策を講じることが大切になるでしょう。(提供: プライベートFPオンライン

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