森金融庁長官が2017年4月7日、現在ある投資信託の中で「積立NISA(ニーサ)」の対象になり得る投資信託が全体の1%程度という趣旨のコメントをしたことが注目を集めている。

証券会社や銀行等で手軽に投資信託を購入できるようになり、資産運用先の金融商品として、投資信託の存在感は大きくなっている。投資信託では一般的に、購入の際にかかる手数料として販売手数料、そして、年間の管理費用として信託報酬が発生する。

販売手数料が無料(ノーロード)の投資信託や、信託報酬が割安に設定されている投資信託も増えつつあるが、これらの手数料以上に価格が値上がりしなければ、投資信託の売買で利益を上げることは難しい。

さらに、国内外の株式や債券等に投資する金融商品が投資信託である。株式投資にテーマ株が存在するように、その時々の旬をテーマとした投資信託もある。金融機関からすれば、投資信託を次々と乗り換えてくれればその分だけ手数料が発生し、企業の利益につながる。

そのため、個人投資家に新たなテーマの投資信託へ乗り換え(=スイッチング)を勧めることが多い。個人投資家の方も、さらに利益が発生するのであれば悪い気もしないだろうから、スイッチングを行う場合は多くある。

通常は利益の出ている投資信託から新たな投資信託に乗り換える。利益が出ている状況は価格が高値圏にある場合が多いため、新たな投資信託に乗り換えたことで高値掴みになり、損失を被るケースはよくあることだ。

積立では基本的に、長期での資産運用を前提にしている。着実な資産形成を考えれば、一発ドカンとあてるようなテーマ性のある投資信託を積立NISAの対象として考えづらい。さらに、スイッチングにスイッチングを重ねるような販売手法を積み重ねることで結果として損失が発生し、個人投資家の投資に対するイメージは悪くなる。そうした背景を踏まえて、全体の1%程度という趣旨のコメントにつながったのだろう。

積立NISAの前に、まずは現在あるNISAとはどのような制度なのかから見ていこう。

NISAとジュニアNISAとは

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(写真=PIXTA)

NISAとは2014年から始まった少額投資非課税制度のことだ。NISA専用の口座を開設することで、その口座内で株式や投資信託等を購入することができる。通常であれば利益に対して20.315%の税金がかかるところを、NISA口座の投資枠で発生した利益に対しては非課税にできる。投資金額や期間などは以下の通り。

【NISA】
①毎年120万円
②最長5年間
③投資総額最大600万円まで

特定口座や一般口座であれば、株式投資等で損失が発生した場合には利益と損益通算できる。しかし、NISA口座で購入した株や投資信託等は、特定口座や一般口座の株等と損益通算を行えないというデメリットはある。

2016年からは、未成年を対象にしたジュニアNISAも始まった。ジュニアNISAでは、以下の条件で投資をすることができる。

【ジュニアNISA】
1. 0~19歳までの未成年者
2. 年間80万円まで

ジュニアNISA口座の投資枠で発生した利益に対しては非課税にできる。ジュニアNISAでも、特定口座や一般口座の株等と損益通算を行えない他、原則18歳まで払い出しができないというデメリットがある。

積立NISAとは