昨年発表された日本政策投資公庫の調べでは高校から大学まで教育にかかる費用(入在学費用、仕送り額及び自宅 外通学開始費用の合計)は、約1485万円。仮に、ふたりの子供がいる場合、単純計算で、3000万円の負担が発生する。
蓄えはあったとしても、住宅ローンの返済がある年代と重なることから、子供が卒業するまでは、お父さんお母さんは、節約が強いられる。そこで、活用を検討したいのが教育資金贈与である。
制度の正式名称は、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」だ。孫ひとりの贈与に対し、1500万円を上限に贈与税が非課税となるものである。2015年に増税された相続税に対して、贈与税の優遇として新たに設置された。
国の政策は、高齢者の貯蓄を早く流動化させ、次世代の消費に繋ぐとする目的であり、相続税は強化し、その代わりに、生存中の贈与は軽減としたのだ。その一環がこの教育資金贈与である。同様に、結婚資金を目的とする結婚資金贈与も設置された。
具体的な仕組み、金融商品は
一般的には、祖父母が孫に対して贈与することが想定されており、贈与専用の口座を新設する。この場合、孫は未成年の場合が多いため、親が代理人として契約することになる。実際の利用にあたっては、この贈与用の口座から、教育資金に該当する支払いに対し、出金される。限度額である1500万円を一括で贈与することもできるし、限度額の範囲で、適宜贈与を行うことも可能である。
この制度を利用するには、各金融機関が提供する商品を選択する必要がある。これら商品を申し込むと、金融機関が、税務署宛の届け出を代行してくれ、その利用目的への適合をチェックすることになる。申し込みには、親族関係を証明する書類として、戸籍謄本(正式には「登記事項証明書」)を提出する必要がある。
あくまでも、教育資金への利用が条件であることから、払い出しには支払いを行った疎明資料(請求書、領収書等)の提示が払い出しの条件とされる。商品は、各金融機関のHPで確認できるが、メガバンク、地方銀行、信託銀行では、この制度への対応商品が用意されている。