今回はNISAに関する課税制度に着目し、NISA口座でリスクメジャーが低いファンドを購入するケースについて考えるため、債券型投資信託の特徴を考察します。
NISAに関する課税制度
NISA口座で10万円を支払って購入した商品を、値下がりして6万円のときに、課税口座に移したとします。
課税口座では、移管日の価格で取得したとみなされるため、取得価格は6万円とみなされます。
その後8万円で売却したとして、特別分配金や分配金再投資によって取得価格が変わることを除いて考えると、2万円の利益に対して課税されます。
リスクメジャー
そこで損失を抑えたいということで、モーニングスターのリスクメジャーが「1」のファンドについて見てみます。リスクメジャー1のファンドとは、全ファンドのうち、下方リスク(値下がりリスク)が低いほうから10%以内のファンドです。
モーニングスターのサイトには、2013年10月29日現在、リスクメジャー1で、償還までの期間5年以上、純資産総額10億円以上のファンドは、DC(確定拠出年金)とSMA(ラップ口座)を除き、82本ありました。
そのうち債券型投資信託は70本で、カテゴリ別本数は次のとおりです。
- 国内債券・中長期債 29本
- 国際債券・グローバル・含む日本(H) 13本
- 国際債券・グローバル・除く日本(H) 9本
- 国際債券・ハイイールド債(H) 9本
- 国際債券・エマージング・複数国(H) 5本
- 「国際債券・北米(H)」「国内債券・物価連動債」「国際債券・欧州(H)」 各1本
モーニングスターの分類で債券型投資信託とは、過去3年間の平均債券組入れ比率が70%以上で、株式とCB比率が合計10%未満のものを指しています。
それでは次に、国内債券型と国際債券型のトータルリターンを見ていきましょう。
国内債券型
モーニングスターのファンド分類で国内投資型とは、日本国内への投資比率が過去3年間で平均60%以上のファンドです。
国内債券型ファンドを、償還までの期間5年以上、純資産総額10億円以上という条件で検索すると、34本のファンドがあります。
リスクメジャー1のファンドは31本で、そのうち29本は中長期債のカテゴリです。これらの31ファンドについてみると、3年リターンは0.07%~6.96%で、平均は1.55%です。5年リターンが掲載されているファンドは17本で、数値の範囲は1.02%~5.22%、平均は2.18%です。
これを見ると、あまりリターンが多いとはいえませんが、3年リターンと5年リターンにはマイナスが見られませんでした。1年リターンには1つマイナスが見られましたが、全体としてプラスが多い傾向でした。
国際債券型
モーニングスターのファンド分類で国際投資型とは、国外への投資比率が、過去3年間で平均40%超のファンドです。
国債債券型のファンドを、償還までの期間5年以上、純資産総額10億円以上という条件で検索すると、合計573本あります。
リスクメジャー1のファンドは38本で、全て為替ヘッジありのファンドです。為替ヘッジには、為替リスクを低減するというメリットの反面、コストがかかるというデメリットもあります。
3年リターンは-1.26%~8.07%、平均は3.4%でした。そして5年リターンの平均が記載されているファンドは11本で、数値の範囲は0.85%~8.92%、平均は4.22%でした。ハイイールド債のリターンが高い傾向です。
3年リターンと5年リターンにはマイナスが1つしか見られず、平均は国内債券型をやや上回っているという結果です。ただし1年リターンは、約半分の銘柄にマイナスが見られました。
トータルリターンとは
トータルリターンは全額再投資したものとして計算するので、分配金があるファンドについては、トータルリターンがプラスであっても、基準価格が上がっているとは限りません。
分配金を再投資したとして基準価格を計算したものを、修正基準価格(分配金再投資基準価格)といいます。分配を行うファンドでは、基準価格と修正基準価格に差があります。
決算時の基準価格が個別元本を下回っているとき、分配金に対してはもともと課税されないので、NISA口座で購入したファンドは分配金が非課税というメリットが活用できなくなってしまいます。
今回は、債券型投資信託のうちリスクメジャーが低いものをテーマとしましたが、これはあくまで一例です。
値上がり益追求型のファンド、ミドルリスク・ミドルリターンのファンド、リスクメジャーが低いファンドなど、NISA口座でどのようなファンドを購入するかについては、それぞれメリットデメリットがあり、どれが多いのが良いかということは一概には言えないと思います。
ファンド資料とともに、このような指標も活用して、NISAで購入したいファンドを見つけてください。