2016年の確定申告が無事に終わって、ホッとしている人も多いのではないでしょうか。しかし、2017年の確定申告の準備はもうすでに始まっています。あわてて申告することで見落としや誤解による損をすることがないよう、余裕がある時に賢く準備する方法を知っておきましょう。

まずは忘れられがちな控除をチェック

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(写真=WAYHOME studio/Shutterstock.com)

今回提出した確定申告の中に、漏れていた控除はありませんか。個人の確定申告としては、医療費控除、生命保険料控除、社会保険料控除、寄付金控除が一般的です。

生命保険や個人年金、医療保険に入っている人は、生命保険料控除が受けられます。必要な書類は生命保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」です。会社員であればこれを勤務先に提出すると、年末調整をしてもらえます。自営業の場合は確定申告が必要なので、起業や独立をした人は忘れないようにしましょう。金額の計算には各生命保険会社のサポートツールが役に立ちます。一つの保険で年に1回の作業ですが、加入数が多い場合は証明書が送られてきたらすぐに計算しておきましょう。

見落とされがちなのは、扶養している大学生の国民年金保険料です。社会保険料控除の対象なので、年末調整または確定申告をしましょう。必要な書類は「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」で、毎年11月頃に発送されます。

ふるさと納税をした人は寄付金控除を申告すると還付が受けられます。確定申告の必要ない「ワンストップ特例制度」が施行されましたが、医療費控除などで確定申告をする人はワンストップ特例が使えません。自治体から送られてきた領収書は、確定申告時まで大切に保管しましょう。

医療費控除を簡単に済ますコツ

控除を受けるための確定申告で、最も手間がかかるのが医療費控除です。領収書の保管や医療費の集計が必要なほか、勤務先の年末調整ではやってもらえないので、自身で確定申告をする必要があります。以下、できるだけ簡単に済ますコツを2点紹介します。

1. 医療費に関する領収書はすべて保存
病院や診療所における診療費や治療費、入院・手術代の領収書、薬局・ドラッグストアで医薬品を購入した際のレシートはとにかく1年間は保存してください。処方薬だけでなく、風邪薬や頭痛薬など治療のための薬はすべて医療費控除の対象になります。

注意したいのが、健康保険が利かない医療費は控除の対象外だと誤解している人が多い点です。保険診療でも自由診療でも、医師に支払った診療費や治療費は医療費控除の対象になります。また、交通費も医療費控除の対象になるので領収書をもらってください。ただし自家用車のガソリン代は対象外です。

2. 医療明細書にはかかった都度記入
確定申告では、かかった医療費、治療名、医療機関の名称・住所、保険で補てんされる金額を記した支払明細書を作成しなければなりません。病気がちな人がいる世帯や、家族が多い世帯では件数が多くなります。このため、直前まで溜めこまず、医療費が発生した都度、記入と計算を済ませておきましょう。

支払明細書は自身で作成してもかまいませんが、国税庁の確定申告書作成コーナーのホームページで「医療費集計フォーム」がダウンロードできるので、こちらを使うと便利です。必要な項目に金額などを入力すれば、医療費合計額が自動計算されます。パソコンで確定申告をする際、ファイルを読み込むだけで反映が可能です。

保険金と通算する場合は、計算方法に注意してください。医療費控除はかかった費用から民間の保険金などで補てんされた金額を引いて、実際に負担した金額が10万円を超えた場合に対象になります。仮に病院での医療費20万円、それに対し支払われた保険金30万円、別途で歯科治療費が15万円かかったとすると、通算すると5万円になるため控除の対象外のように思われます。ところが、実際には保険金はその目的となった医療費のみ相殺されるので、歯科治療費の15万円には影響ありません。

高額療養費を受け取った場合

ある一定以上の医療費を支払った場合、自己負担限度額を超える金額は健康保険から還付されます。この高額療養費制度は、確定申告においてはどのように扱われるのでしょうか。

民間の生命保険同様、医療費を補てんするお金を受け取った場合は、かかった医療費から差し引きます。高額療養費の場合、かかった医療費から高額療養費を差し引いた金額を申告します。たとえば自己負担限度額8万円の人が、100万円の治療費のうち3割の窓口負担30万円を支払った場合、22万円の高額療養費が還付されます。自己負担したのは30万円-22万円の8万円なので、医療費控除で申告するのは8万円です。

ただし、正式な金額が支給されるのは医療費が発生してから3ヵ月後なので、確定申告時に間に合わない場合があります。その場合は見込み額の記入でかまいません。金額が実際と異なっていた場合は、あとから修正申告することも可能です。

確定申告は直前になると問い合わせ先も多忙になるため、早いうちに少しずつ処理しておくことが大切です。(提供: 保険見直しonline

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