Appleが注目している技術のひとつが、「睡眠分析技術」だ。最先端のテクノロジーを活用し、人間が生きていく上で欠かすことのできない睡眠の質を向上させることで、総体的な健康促進を狙う技術である。

Appleはスクリーンのブルーライトを減らすことでユーザーに就寝時間を知らせ、睡眠パターンを記録する「ナイトシフト 」などのiOS 10用ツールを開発し、近年急激に活発化しているヘルステック市場へ参入している。

規則正しい睡眠習慣を促進する「ナイトシフト」

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

高齢化や健康志向の盛りあがりにいち早く着目したAppleは、「アクティビティ」「栄養」「マインドフルネス」「睡眠」を主要テーマに、様々なヘルス・アプリの開発に取り組んでいる。Apple Watchによるヘルスケアもその一環だ。

健康的な生活の基盤となる睡眠だが、CDC(米国疾病予防管理センター)の調査によると、米国だけでも3人に1人が睡眠不足 、5000万人から7000万人が何らかの睡眠障害に苦しんでいるという。そこで「睡眠ポリソムノグラフィー検査」と呼ばれる診断法などを用いて、睡眠時無呼吸症候群を含む広範囲な睡眠障害対策の開発が、先進国を中心に進められている。

Appleの「ナイトシフト」は、規則正しい睡眠習慣を促進する意図で開発された。時計アプリに組みこまれており、目標の就寝時間と起床時間を設定しておけば、就寝時間が近づくにつれてモニターの明るさを調節し、睡眠に悪影響があるといわれるブルーライトを軽減。

ユーザーは自分の睡眠パターンをモニターで確認することも可能だ。収集されたデータはサードパーティーの睡眠アプリとともに、ヘルスケアに集約される。Android Nも同様のアプリ「ナイトモード」を搭載している。

「ナイトシフト」開発者が立ち上げた睡眠モニター・スタートアップ

「ナイトシフト」を開発したのは、元フィリップス・リサーチの研究者、ロイ・レイマン氏 だ。レイマン氏はモバイル・デバイスにおける睡眠ツールの開発を追求する目的で、2014年にAppleのヘルス部門に参加した。ほかにも「ヘルスキット」の開発にたずさわるなど、Appleのヘルス分野における飛躍に大いに貢献した人物だ。

そのレイマン氏が新たなステップとして、スタートアップ「スリープ・スコア・ラボ」 を立ち上げた。医療デバイス・メーカーのレスメド と、心臓胸部外科伊医、コロンビア大学教授、作家、タレントなど、複数の分野で才能を発揮するメフメト・オズ氏 からの協力を得て実現したこの共同事業をとおし、最先端のテクノロジーを屈指した睡眠改善策を提供する。

目玉商品はレスメドが開発した睡眠モニター機器、「S+(販売価格129.99ドル)」だ。睡眠パターンを正確に測定し、年齢や性別などの基本情報に基づいて、睡眠の質の改善策を提案してくれるという優れもの。iOSやAndroidを含む多数のシステムで利用可能だ。

Appleは睡眠モニター・スタートアップ、Bedditを買収

一方Appleはフィンランドの睡眠モニター・スタートアップ、Beddit を買収したことが、Bedditの発表から明らかになっている。Beddit は2007年の設立以来、睡眠モニター・デバイスの開発を手掛けてきた。2014年には同国のベンチャー・キャピタル、Inventure Oyなどから、総額350万ドルの資金調達 に成功している(CrunchBaseデータ)。

最新モデルの「Beddit3」は、センサー搭載の帯状のデバイスを床に敷き、睡眠時間・心拍数・呼吸パターン・体温・体の動き・いびきなど、詳細にわたる睡眠データを測定する仕組みだ。

すでに2015年からAppleストアでBedditの製品が発売されていたため、今回の買収に関して青天の霹靂といった感は薄い。「HealthKit」を利用して、Appleのヘルス関連アプリとBedditのモバイル・アプリをリンクさせるだけで、睡眠パターンは勿論、心拍数や呼吸パターンなどを分析してくれる。

これらの睡眠およびヘルス・モニター・ツールは、今後のヘルステックの跳躍を予感させるほんの一例だ。大手テック企業のヘルス・スタートアップ買収は、ますます盛んになると予想されている。(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

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