NISAと株式投資についてお伝えをさせて頂きます。
40年近く、株式市場をウォッチしてきました。市場関係者からすら「株式投資は博打」といった言葉を耳にすることが少なくなりました。悔しさがつのる40年でもありました。中長期に構えた時、株式投資こそかっこうの資産形成法だと思ており、それはNISAでも同様です。
そしてそのコアにあるのが「配当」だと確信しています。
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NISA(ニーサ/日本版ISA)の参考にしたいS&P配当貴族指数
米国株式市場の代表的株価指数に、S&P500があります。米国を代表する企業500社の株式を構成銘柄としたインデックスです。この500社の中からさらにより選りすぐった企業によって構成される株価指数に、日本語に直訳しますと「S&P500配当貴族株指数」と称されるものがあります。構成企業の基準は、四半世紀(25年)以上に亘り連続増配を続けていること、です。毎年年末に銘柄の見直しが行われますが、現在の当該企業数は50を超えています。
日本でも名前が知られるジョンソン&ジョンソン、P&G、スリーエム、コカコーラ、ペプシコーラ、ウォルマートなども含まれています。
この指数はETFとし上場されており、広範な投資家の投資対象にもなり、好パフォーマンスを残しています。2008年のリーマンショック前の水準を、ダウ平均やS&P500等々の指数より一足も二足も早く上回っています。
今年年初から本稿作成時点までの上昇率は20%近く、過去3年間でも15%をゆうに超えています。何故か、と聞かれれば答えはただ一つです。繰り返しになりますが、25年以上もの長きに亘り、増配をし続けた企業のインデックス、の一言に尽きます。
事業環境に突発的な追い風が吹き、2年・3年と連続増配を実施する企業は決して珍しくはありません。しかし10年以上、ましてや20年以上となると決して容易ではありえないはずです。まずもって、縷々とした着実な利益の積み重ねが不可欠となります。
それを実現するためには、優れた経営者が常に舵取りであり続けることや、表現しがたいですが、企業の持つ全ての天候(環境)変化に対する適応・対応力などなどが整備されていなくてはなりません。
株式投資の原点は、企業力です。配当の在り方は、それを如実に反映します。
NISA(ニーサ/日本版ISA)の参考にしたい日本の連続増配企業
日本の上場企業には残念ながら、連続増配25年以上という企業は見当たりません。前年度末でみると、12月期決算の花王の23期連続が最長です。10期以上連続実施の企業で、26社。「失われた10年」云々が言われた中、評価に値する配当政策を執行しえた企業といえます。
株式投資家に馴染みが深いと思われる企業を指折り数えると、次のような具合になります。小林製薬・しまむら・科研製薬・シスメックス・リンナイ・ユニチャームなどが10年超組です。失礼ながら、なんでこの企業が、という例に出くわすこともあります。
ユー・エス・エスをご存知でしょうか。中古車オークションの草分け的存在で業界首位の企業です。「エコカー減税の影響で出品数は減ろう」としながらも、今3月期も堅調な計画で立ち上がり「16期連続増配」を打ち出している。
さらに連続年数のバーを引き下げてみると、興味深い企業に出会える。9期連続組に、ロート製薬があ。大衆目薬首位に止まっていただけでは、決してなしえなかったといって決して過言ではない快挙と考える。一昔、いや二・三昔以上前まで皮膚系万能薬として重宝された商品にメンソレータムがある。このメンソレータム事業を買収したのが、同社の居所を数段高いところに押し上げた大きな要因となりました。メンソレータムを手にしたことから、皮膚系製品分野の研究に着手し、いまでは「化けて粧う(よそおう)化粧品とは一線を画した」と豪語する、スキンケア部門のヒットメーカーとなっています。
立ち上がりの頃は深夜営業が災いし、「新聞の社会面」企業だったドン・キホーテが成長企業と評されるいま、9期連続増配を続けています。また、7期連続組ではJPホールディングスが、存在感を示しています。少子高齢化対策の一環として打ち出されている、待機児童解消問題、同社は認定・認証保育園の全国展開で断トツの首位を走っています。
8期連続組の朝日ネットは、IT時代の申し子企業、独立系のネット接続サービスで顧客満足度NO1を背景に成長、いまはSNS事業にも本腰を入れています。日本でもまた連続増配企業は、「優良企業」「成長企業」としてNISAでの投資対象の俎上に乗せるかっこうの物差しといえるのではないでしょうか。
NISA(ニーサ/日本版ISA)の参考にしたい竹田和平銘柄
あらためるまでもないことですが、米国いや世界を代表する投資家にウォーレン・バフェット氏がいます。「S&P配当貴族指数」を構成する複数企業の大株主でもあります。好んで一日に5-6本は飲むというコカコーラの株式を大量保有することでとみに知られています。
そして、日本版ウォーレン・バフェットの異名がついた投資家が、竹田和平氏です。100余前後の上場企業の大株主(上位10位以内)と紹介される、日本1の個人投資家です。
NISAの運用を考える上で、竹田氏の運用は大変参考になります。
竹田和平銘柄を辿っていくと、底流に次の三点が浮かび上がってきます。「PBR1倍以下」⇔(一株当たりの)時価が企業の(同)解散価値を下回っており、割安です。「無借金に象徴される好財務」⇔投資対象として安心感が背負え、かつ新規事業等拡大などが有利に展開できるという期待が持てます。そして「安定配当」です。実際に会社四季報等を繰り、竹田銘柄で確認していただきたい。竹田氏は説いています。「預貯金では実現できない資産形成が、株式投資なら可能」とでりますと。この考え方はNISAでも大変重要です。なぜなら、NISAでのポイントが長期投資になるからです。
地味だが象徴的な一例を上げておきます。建築と分譲マンションを両輪とするジャスダック銘柄に、サンユー建設があります。時価のPBRは0・3倍余、前期末の利益剰余金は有利子負債の10倍以上、年25円配当を続けています。竹田氏は7万株を保有する第7位の大株主。現時点で調べうる限りでは、2010年3月期末には既に取得・保有しています。ゆえに、次のようなシミュレーションが成り立ちます。2010年3月末の株価520円が取得価格と仮定すると、投下資金は5万2000円。時価は790円。値上がり益は2万7000円。25円配当が継続されているから、前期末までの累積配当金は1万円。つまり5万2000円の元手はいま、1・71倍強となっています。
NISAを活用し株式投資を、と考えている向きは「インカムゲイン(配当)」の魅力を頭に叩き込んでおくべきではないでしょうか。
photo credit: Alan Cleaver via photopin cc