お金持ちになりたい、富を築きたい、そのように思うことを「野心」と言い換えることもできます。その目標を実現するために努力ができるのは「野心」のおかげです。

(本記事は、菅下清廣氏の著書『ゼロから富を作る技術(かんき出版 2014/2/19)』の中から一部を抜粋・編集しています)

「野心」を持って人脈を開拓しよう

「野心」と「欲張り」はまったく違います。

欲をかきすぎると失敗するのが相場の世界ですから、自分の「野心」をコントロールすることは必要です。しかし、「野心」なくして努力などできないというのも真実なのです。

人脈を開拓するには「いい人と出会いたい」という野心が必要です。野心を持って、積極的に行動しましょう。これから、その具体的な行動のためのアドバイスをしていきます。

知的水準を高められる場所で出会う

どんなところに出会いが待っているかはわかりません。私の場合、こんな出会いもありました。メリルリンチに入社してすぐ、英語での資格試験を受けるために日本で半年ほど英会話学校に通ったという話はしましたね。

あの頃、仕事が終わった後の18時から21時までの3時間、毎日四谷にある英会話学校に通っていました。そのクラスで一緒だった人の中に、大手の銀行を退職して通っているという男性がいました。銀行を辞めたのは弁護士になりたいからで、しかも将来はアメリカで仕事をしたい。そのために英会話を学びに来たというのです。大手銀行をわざわざ辞めてまで英会話学校に通うなんて変わった人もいるものだなと思っていたところ、彼は自分の宣言通り弁護士になり、アメリカの法律事務所で働き始めました。

その後は東京で自分の事務所を設立し、最近ではいわゆる「一票の格差」問題でも話題になるなど、今、日本で最も著名な弁護士の1人になっています。最近はお会いする機会がありませんでしたが、一緒に英会話学校に通ったことを思い出すととても懐かしいです。

このように、どんなところで優れた人との出会いがあるかはわかりません。とくに、自分の知的水準を高めるために出かけた場所では、「いい人」と出会う可能性が高いのでおすすめです。

『ゼロから富を作る技術』(かんき出版 2014/2/19)画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
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感銘を受けた本の著者に出会う

若い頃、私はよく本の著者に直接コンタクトを取っていました。手紙を書いたこと「この本すごくよかったです、感動しました。ぜひ直接お話をおうかがいさせていた
だけませんか?」

そのような電話をかけていました。

電話番号は出版社などに問い合わせて取り次いでもらいました。今思えば、若かったからこそできたことかもしれません。それでも電話をかけた著者のうち、3人に1人くらいは直接会ってくださいました。

「会いたい人には会おうと思えば会える」という実体験は、私の人生で大きな財産と自信になりました。

「一流」の人との出会い方

ラザード・ジャパン・アセット・マネジメントに入社した際、私に課せられた任務は「日本の一流の顧客を開拓すること」でした。その方法として教わったのは、「一流の人が出入りする場所に出入りすること」です。

一流の人が出入りする場所とはどういう場所でしょうか。たとえば会員制のスポーツジム、高級ホテルのレストラン、政財界の著名人たちが常連のクラブやバー。そういったものが例です。会員制の場所でなくても、待ち合わせや打ち合わせに使う場所も、ファストフード店や喫茶店ではなく、高級ホテルのラウンジを選びます。

そのような場所には政治家、芸能人、経営者、大企業の社長、財界人などが出入りしています。注意しておきたいのは、そのような場所に行ったからといって一流の人々と出会い、人脈ができるわけではありません。そのような場所に出入りするにふさわしい人間になるということです。

一流の人間は、相手が一流かどうかをすぐに見抜きます。まずは自分がそのような一流の場所に通うことで一流の人間としてふさわしい品格を身につけ、その場所にいても浮かない存在になることが先決です。

会員制のスパやスポーツジムに通っていると、テレビでしか見たことのないような人たちがいつも裸でウロウロしています(笑)。そのような人たちと、別の日に別の場所で、たとえばパーティーなどでバッタリ出くわしたとします。

「あれ、○○ジムでもよくお会いしますよね……」

という流れで言葉を交わし、そこで初めて名刺交換をするというのが自然なパターンです。

私の場合で言えば、時々ジムで声をかけられることもあります。

「この間あの会に出席していらっしゃいましたよね?」

偶然レストランで出会って、挨拶をして名刺交換をしたところ、私たちのテーブルにシャンパンをプレゼントしてくださって、そこから親しくなったことも……。また、ある一流ホテルの地下で靴を磨いてもらっていたところ、次にやってきた人が誰でも知っている大手食品会社の社長。そこで、ご挨拶したのがきっかけでその後も、知己を得るようになりました。

ただし親しくなったからといって、そこからお互いの商売がすぐに始まるわけではありません。すぐに商売の話にもっていくような人は、一流とは言えません。

人との出会いにおいて「せっかち」は禁物です。自分からではなく、相手から声をかけられて「相談に乗ってください」と言われるくらいが理想です。いい出会いと人脈はそこからじわじわ広がっていくものなのです。

菅下 清廣
スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント、投資家。立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。マーケット情報配信サービス「 スガシタボイス 」、株価の解説・予測が無料で読める「 スガシタレポート オンライン 」を配信中。