公正取引委員会は独占禁止法の運用に関して、ビッグデータの独占も規制対象とするよう見直しの検討に入った。米GoogleやFacebookのように、多くの利用者を抱えるサービスにビッグデータが集積し、公平な競争を妨げている可能性を指摘する。データ資本主義社会へ向け、法規制の整備に乗り出す。

ビッグデータの独占による寡占化を警戒

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(写真=PIXTA)

近年データの重要性が急激に高まっている。データの利用により様々なサービスが生まれ、そこに多くの資金が流れ込むようになった。IoTの普及や人工知能(AI)技術の高度化はデータの価値を更に高める役割を果たしている。データは企業にとって非常に重要な資源となっており、データ資本主義社会の到来とも言われている。

データが大きな価値を持つようになり、データを持つ企業と持たざる企業では競争環境に大きな差が生まれるようになりつつある。こうした情勢を受け、公正取引委員会は1月から「データと競争政策に関する検討会」を6回にわたって開催してきた。検討会の報告書が6月6日に公表され、ビッグデータの独占を独占禁止法で規制する方針が示されたのである。

報告書ではSNSや検索エンジンなどの無料サービスを用いたデータ収集とその活用に競争上の懸念があるとしている。無料で便利なサービスと引き換えに多くのデータを集積し、それらを承諾無しに広告事業などに活用する事について、独占禁止法に抵触する可能性があるとの見解だ。米GoogleやFacebookを念頭に置いている。

これらのサービスで得たビッグデータの独占が、さらなるサービスの向上を促し、結果として他社が参入出来ない寡占市場を生むとも指摘している。経済協力開発機構(OECD)でも同様の指摘がなされている。

報告書ではM&Aの審査においても、データの寡占が起こらないようチェックする方針を掲げる。データは資源であるとの認識に基づき、データの不当な囲い込みを狙うM&Aを厳しく審査する。

法整備は始まったばかり、企業間競争を担保する仕組み作りを