「超富裕層のトップ0.01%(純資産額4000万ドル/約44億160万円以上の層)が、納めるべき税金の平均30%を脱税、あるいは租税回避している」 というレポートが、欧米の研究者によって発表された。

対象国における個人の所得に対する脱税額の割合が平均3%だから、であるのと比較すると、超富裕層の租税回避の割合は実に高いといえる。

個人所得税の高い国は脱税・租税回避率も高い?

このレポートはノルウェーのライフサイエンス大学で税法を教えるアネッタ・アルスタッドサーター教授、コペンハーゲン大学経済学部の研究者、ニール・ジョハンセン 氏、カリフォルニア大学バークレー校経済学部のガブリエル・ザックマン助教授 が、パナマ文書に基づいて富裕層の脱税・租税回避傾向についてまとめたものだ。

対象となったのはノルウェー、スウェーデン、デンマークの3カ国の富裕層のみだが、アルスタッドサーター教授らは「富裕層による高額な脱税・租税回避行為は、世界各国で見られる現象」と述べている。

3カ国の平均的な対所得脱税・租税回避比率3% に対し、純資産額とともに割合が上がる。一例を挙げると、「ノルウェーの最高所得層(全世帯の0.1%)の40%は、平均50%の資産をタックス・ヘイブンにかくしている」という。

しかしこの3カ国が高税国として知られている事実と照らし合わせると、富裕層の資産隠しが盛んなのも納得がいく。デンマークの個人所得税が55.8% 、ノルウェーは38.52% 、スウェーデンは57.10% に達している(トレーディング・エコノミクス2017年調査)。

日本も個人所得税が過去最高水準の55.95% となっているが、レポートではアジアを含む主要国・地域における富裕層の資産総額が北欧圏をはるかに上回るため、「より多額の資産隠しが行われている可能性が高い」と指摘されている。

取り締まり強化の動きは見られるが改善には至らず