自動車部品メーカーのニフコ <7988> は子会社で英字新聞を発行するジャパンタイムズの全株式を売却すると発表した。売却先はニュースリリース配信サービスを手掛ける、ニューズ・ツー・ユーホールディングス。売却価格は非公表であり、6月末の売却完了を予定する。ニフコは本業と関わりの薄い同事業を売却し、経営資源を集中させる。

近年は業績伸び悩み 本業との関わり薄く売却へ

M&A,メディア
(画像=Webサイトより)

「ジャパンタイムズ」は1897年に創刊され、今年で120周年を迎えた現存する日本最古の英字新聞社である。また、英字専門の新聞社は国内で同社のみとなっている。創刊にあたり、伊藤博文や福沢諭吉の支援を受けている等、由緒正しき新聞社としてこれまで事業を行ってきた。近年は米紙「ニューヨーク・タイムズ」と業務提携を行っている。

なぜ自動車部品メーカーのニフコがジャパンタイムズを傘下に収めていたのだろうか。その由来はニフコの創業者である、故小笠原敏晶氏が関係している。1983年、同氏は懇意にしていた元外務官僚の福島慎太郎氏より「ジャパンタイムズ」を譲り受けた。それ以降、1985年まで社長を務め、その後は会長職としてジャパンタイムズを経営した。そうした経緯の中、1996年にニフコが全株式を買収し、傘下に収めたのである。本業との関わりはほとんど無い事業であったが、ニフコの知名度向上には一定の役割を果たしていたようである。

しかし、近年は出版不況の影響もあり、業績は伸び悩んでいた。ピーク時に約50億円あった売上高は2017年3月期には約25億円と半減しており、同事業のセグメント利益は800万円となっていた。現在の発行部数は4万4000部に留まる。こうした事業環境の影響もあり、ニフコは経営資源を本業へ集中させる為、売却する方針を固めた。

尚。ニフコはジャパンタイムズの他に高級ベッドの製造・販売を行うシモンズも傘下に収めている。同社も故小笠原氏の肝いりで1996年に買収を行っている。こちらも本業との関わりは薄いが、2017年3月期にはセグメント売上高235億円、セグメント利益35億円と業績に一定の貢献を行っている。

新体制でネット配信の強化を図る