トランプ政権が公約としていた金融規制緩和に向け、具体的な一歩が踏み出された。米財務省は6月12日、ドッド・フランク法(金融規制改革法)見直しに向けた報告書を公表した。厳しい規制が課せられる金融機関から不満の声が多かった同法であるが、改正には野党である民主党の反発も予想される。

中堅以下の金融機関に配慮した改正案

規制緩和
(写真=PIXTA)

ドッド・フランク法は金融危機の再発防止を目的に、オバマ前政権時代の2010年に成立した。トレーディングに対する規制や資産査定(ストレステスト)など、金融機関に厳しい規制を課す同法には不満の声も多く出ていた。

トランプ大統領は、同法の厳しい規制が金融機関の行動を制限し、経済成長に悪影響を与えていると訴えており、同法の改革を選挙公約としていた。2月には同法の見直しに関する大統領令に署名しており、財務長官へ現行規制の問題点の報告書を提出するよう求めていた。

公表された報告書は150ページにも及び、100以上の見直しの提案が並んだ。提案の内容は中堅以下の金融機関の規制緩和が中心となっている。ドッド・フランク法の中核となり、自己勘定での高リスク取引を規制する「ボルカー・ルール」について、総資産100億ドル以下の金融機関は原則除外する案が示された。対象から外れる金融機関はリスクの高いトレーディングを行い、収益力増加を目指す事が可能となる。また、金融機関の資産を厳しく査定するストレステストについても、対象を500億ドル以上に絞るよう求めている。

他にも、消費者金融保護局の権限縮小も提案されている。ドッド・フランク法に基づき設立されたリテール金融部門の規制監督当局であるが、過度な規制により、住宅ローン市場の成長を妨げているとの批判があった。

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