節約マインドが広がるなか、それでも外食を手軽に楽しみたい消費者が通う1つが回転寿司チェーン。厳しい経済情勢こそ、強みを発揮する業界で異変が起きている。

かつて業界トップに君臨し、その存在感を誇っていた「かっぱ寿司」が苦境にあえいでいるのだ。消費者が財布の紐を引き締める今こそ、手軽に寿司を楽しむことができるかっぱ寿司には、絶好のビジネスチャンスのはずだか、何が起きているのか。

ブランドイメージ刷新でつまずき

かっぱ寿司,食べ放題
(画像=Webサイトより)

かっぱ寿司を運営するカッパ・クリエイト <7421> の2017年3月期の連結決算によると、売上高は前年同期比1.1%減の794億2200万円、営業利益は5億2400万円の赤字(前年同期25億4900万円の黒字)、最終損益も前年同期52億8100万円の黒字から一転、58億700万円の赤字に陥った。

業績の足を引っ張る要因ともなったのがブランド戦略の見直しだ。かっぱ寿司といえば、文字通り河童をイメージキャラクターにした看板を掲げてきたが、そのブランドロゴを刷新。一番人気のネタであるマグロをイメージした赤い皿と、100円の一皿に込めるこだわりや思いは金の価値があるとして、金の皿を重ね合わせたロゴに変え、「おししいネタ、はなしのネタ」をキーワードに高品質の商品を投入して、新規顧客の獲得とリピーターの増加を目指した。

スタイリッシュになったブランドイメージは、消費者からの認知向上や客単価アップに一時的な効果をもたらしたが、広告宣伝費と販売促進費などの投資を回収するまでには至らず、結果的には利益を圧迫してしまう形となった。また、作業スキルのブラッシュアップが不足したことが、品質・サービスレベルの低下を招き、来店頻度の低下を招き、食材・商品の廃棄ロスによるコストがかさんだことも響いた。

ライバル各社の業績は好調