帝国データバンクが発表した2016年度の不動産代理・仲介業者の倒産動向調査で、同年度の倒産件数は前年度比24%増となる93件だったことが分かった。

帝国データバンクが公表したのは「不動産代理・仲介業者の倒産動向調査(2016 年度)」を。同社では不動産代理・仲介業者の倒産動向に関する調査は初めてという。

賃貸向けアパートの供給過多が懸念される中、流通を担う不動産代理・仲介業者の事業環境も厳しくなっている。首都圏を中心に競争が激しくなり、体力の少ない者から脱落する消耗戦の様相を呈してきている。

小規模倒産が増加 「街の不動産屋」に荒波が打ち寄せる

倒産,不動産仲介
(写真=Antonio Guillem / Shutterstock.com)

調査によると、2016年度の不動産代理・仲介業者の倒産件数は3年ぶりの増加となっている。全業種の倒産件数はリーマン・ショック以降、8年連続で減少しているが、不動産代理・仲介業者の倒産件数はリーマン・ショック後も高止まりの状況が続いている。2013年度の106件を境に2015年度には一旦75件まで低下していたが、今回の調査では再び増加を示し、事業環境の厳しさが浮かび上がる。

また、2016年度の負債総額は67億1400万円となっており、こちらも3年ぶりの増加となっている。増加はしているものの、2000年度からの推移をみれば、100億円以上の負債総額を計上している年度も多く、こちらは低水準で推移していると言える。

不動産代理・仲介業者では負債総額5000万円未満の小規模倒産が増加している。2016年度は小規模倒産が68件と、全倒産件数の7割を超す。インターネットでの物件検索が容易になった事で、「街の不動産屋」の情報優位性が低下している事が原因と見られる。

節税への関心の高まりが、需要を無視した供給を生む