全国銀行協会の会長に就任した三菱UFJフィナンシャルグループの平野信行社長は就任後の記者会見で銀行カードローンについては、「規制を課すことは適当ではない」とこれまでの全銀協の見解を繰り返した。「(融資の)行き過ぎがあった」ことを率直に認める一方、「是正しつつ、お客様のニーズに応えたい」と述べ、融資額に上限を設ける一律規制の導入には否定的な見解を示した。

消費者金融に対しては、貸付額を「年収の3分の1」にする上限規制がある。これに対してカードローンは総量規制の対象外。多重債務に陥る懸念があり、規制強化を求める声が高まっているが、平野氏は「必要な資金を返済能力のある人にタイムリーに提供するのが金融機関の役割だ」と述べたほか、銀行は年収の3分の1を超える貸し出しには「より慎重な審査を行っている」と指摘。銀行取引に基づく「プラスアルファの審査が可能」だとも述べた。過剰融資への懸念に対しては、「一部に行きすぎがあったことは懸念している」とした上で、「是正しつつニーズに応える。単純に(貸し出しを)なくせばいいということではない」と強調した。

自主規制する銀行は7%止まり

カードローン,貸金業法,総量規制
(写真=PIXTA)

全銀協が発表した2017年5月末の「全国銀行預金貸出金速報」によると、全国銀行の実質預金は前月末比4232億円、0.1%増、前年同月比30兆2661億円、4.4%増。前年同月比増加は、128カ月連続である。

特に都市銀行では、前年同期比21兆3594億円、6.5%増と際立っている。地方銀行では前年同月比6兆4692億円、2.6%増である。みずほ、三井住友、三菱東京UFJ、りそなの4行の都市銀が突出していることは一目瞭然である。

カードローン残高は5兆6000億円、5年で7割増