債券ポートフォリオ運用のいろいろ

"債券をいくつか組み合わせて売っている商品を債券ファンドといいます。そのなかにどんな債券がどれだけ組み入れられているかを債券ポートフォリオといいますが、ファンドマネージャーの運用のしかたで、投資家が受け取る利益が変わってきます。今回はよく耳にする三つの運用方法を中心にご紹介します。

①アクティブ戦略とは

"さて、今回ご紹介する運用戦略を比べてどれが一番いいのかを考えてみましょう。最初はいかにも魅力的な、アクティブ戦略です。アクティブ(active)は見てのとおりアクティブという意味で、この戦略を使うファンドは能動的に市場のパフォーマンスを上回る利益を目指して運用されます。このファンドマネージャは、基本的にローリスク・ハイリターンを目指してポートフォリオを組み、入れ替えも積極的に行います。

その戦略には典型的なものが二種類あります。割安感を元に債権を選ぶバリュースタイルと、成長が望まれるものを選ぶグローススタイルです。双方共に、組み入れられる債券は常に入れ替えが行われます。

ここでご想像のとおり、割安だからといって後で価値が上がるかどうかわからないというリスクがありますし、成長を見込んだ所で本当に成長が実現するかわからないというリスクもあります。そして、アクティブ戦略をするファンドマネージャーは調査や運用回数がアクティブでない戦略を取る人よりも多い、つまり「よく働く」ため、ファンドの価格も高いものがほとんどです。ですので、このコストとリスクを考慮してもあまりある利益(の期待)を謳っていなければ全く魅力がないわけです。もちろん、上手に運用されていれば市場の他の商品よりも大きなリターンが得られます。

アクティブ戦略のファンドは、日本では「○○戦略ファンド」などという名前がつけられており、見つけやすいと思います。良さそうなファンドを見つけるのは難しそうですが、うまくいけば嬉しいものです。"

②パッシブ戦略とは

"それでは、アクティブでなくてもう少し安心して買えるファンドはないでしょうか。次はパッシブ戦略のファンドについてです。

パッシブ(passive)とは「受動的」という意味で、市場平均と連動させるとの考えからポートフォリオが組まれています。株ならば日経225の中の銘柄で構成したり、外国債なら先進国だけの債券を組み入れたりされます。ETFはこのパッシブ運用がされているファンドです。そしてこの戦略は、「持ってただ待つだけ」ともいえ、ポートフォリオの入れ替えもたまにしか行われません。

リターンはそこそこのかわりに、リスクも少なそう、守りの戦略といえましょう。債権ファンドマネージャーは銘柄選びの裁量を発揮しないので、アクティブ戦略のファンドに比べて手数料等のコストが抑えられます。

株を組み入れるファンドなら日経平均などの指数と連動するように組まれます。債権ファンドの場合も、「NOMURA-BPI総合指数」などのベンチマークに追随するような組み方がされていて、商品名もベンチマークの名前がついていたり「○○インデックスファンド」などの名前が付いていますので、探しやすいです。"

③ラダー戦略とは

"パッシブ戦略にも、さまざまなものがありますが、なかでも、最もリスクとリターンを平均化したといえる戦略がラダー戦略です。ラダー(ladder)とは「はしご」の意です。

ラダー戦略とは、はしごの段が均一に並んでいるように、短期債、中期債、長期債と、組み入れる債券の満期までの期間が、等間隔になっています。まさにはしごのようにポートフォリオを構成する方法です。これで金利変動リスクを平均化します。リスクとコストを抑えられる点や、ポートフォリオの入れ替えを基本的に行わない点において、パッシブ戦略の仲間といえます。

ダイワ日本国債ファンド(毎月分配型)などが有名です。金融商品は普通、長く持っていると原資のデフォルトリスクをはじめ危険度が増すものですが、このラダー戦略の債券ファンドはそのリスクも低く抑えられる可能性があります。"

④ではどのファンドマネージャーを選べばいいの?

"ラダー戦略はパッシブ戦略の一形態ですから、ここではアクティブ対パッシブで、どちらを選ぶといいのか考えてみましょう。一覧表がわかりやすいと思いますので、作ってみました。ファンド選びの参考にしていただければと思います。

双方の比較でみるリスクの他に、他の金融商品と同じように、ファンドそのものの流動性リスク、国内ファンドであっても為替リスク、などがあります。また、発行体じたいがデフォルトの可能性もゼロではありません。"

投資家それぞれに合った戦略で納得のいく運用を

"数あるファンドのうち、この二つの戦略だけでも、どちらを選ぶか迷う所です。アクティブ戦略は、投資家としては中級から上級者向けのようです。アクティブと一言で言っても、厳密に言えばファンドマネージャーの数だけのスタイルがあるわけです。それを投資家自身のスタイルと突き合わせてみて、気に入ったものを選ぶならば、これは投資家にとっても腕の見せ所となります。

初級者であったり、本業が忙しくてとても難しい内容まで見ていられない、という方はパッシブ運用のファンドならいろいろ考えずにすみます。いずれも流動性が高く時価総額の高いものを選ぶなど、リスク管理には念には念を入れる事をおすすめします。"

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