ふるさと納税を利用する人が増えてきている。ニュースで耳にする機会も少なくない。2015年度税制改正以降、さらに利用しやすくなったふるさと納税の仕組み、メリット等について解説する。

ふるさと納税とは

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(写真=Olga Kashubin/Shutterstock.com)

ふるさと納税とは地方自治体(都道府県・市区町村)に対する寄付のことを指し、寄付額のうち2,000円を超える部分について、一定の上限があるが、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度である。地方自治体に寄付をすると、返礼品を送ってくれる地方自治体が数多く存在する。例えば、新潟県に5,000円以上寄付をすると、新潟産こがね餅・笹団子等の新潟県の特産品などを送付してもらえる。

総務省が公表している「ふるさと納税研究会」報告書には、多くの国民が、地方のふるさとで生まれ、教育を受け、育ち、進学や就職を機に都会に出て、そこで納税する。その結果、都会の地方公共団体は税収を得るが、彼らを育んだ「ふるさと」への地方公共団体には税収がない。そこで、今は都会に住んでいても、「ふるさと」に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか
出典: 総務省 「ふるさと納税研究会」報告書
と報告があがっており、そういった背景を踏まえて、ふるさと納税が確立されたのだ。

ふるさと納税、さらに身近な存在に

前述の通り、地方自治体に寄付をすると、寄付金額の2,000円を超える部分については、原則として所得税や個人住民税から全額が控除される。また、所得額や家族構成などにより控除額の上限が定められている。控除を受けるには、原則として確定申告が必要である。2015年からこの制度は
1. ふるさと納税枠を増額
住民税の原則として自己負担額の2,000円を除いた全額が控除されるふるさと納税枠(控除額)が約2倍に増加
2. 確定申告の手続きを簡素化
寄付先が5団体以内でふるさと納税を行う際に、寄付先の自治体に特例の適用に関する申請書を提出すれば、本来確定申告の不要な給与所得者等がふるさと納税を行う場合は、確定申告が不要(ワンストップ特例制度)
になり、よりふるさと納税が利用しやすくなったのだ。

このワンストップ特例制度を適用できるのは、もともと確定申告をする必要がない給与所得者で、寄付をする自治体が5団体以内の場合であるため、事前に把握しておく必要がある。

ふるさと納税の利用者は増加傾向にあり、2015年にはおよそ130万人が利用した。制度が始まった2008年にはおよそ3万人だったが、8年で約40倍と急拡大している。

ふるさと納税のメリット

寄付をすることにより送られてくる返礼品は豪華な物も多く、その特典を目当てにふるさと納税をする人も多い。控除額を差し引くと自己負担2,000円で、その地域の名産品や高級食材が手に入るわけだ。中には、IT機器や金券をお礼として送ってくれる自治体もある。返礼品を豪華にして寄付を集めようとする自治体間の競争は激化しており、現在総務省から返礼品をある一定割合の中で収めるよう地方自治体に対して自粛要請が出ている。

ふるさと納税のメリットとしては、前述の通り、自己負担2,000円で日本各地の名産品などを手に入れることだ。また、寄付先を自分で選べるのもメリットだろう。生まれ故郷はもちろん、災害地に寄付をして、復旧・復興に協力することもできる。

ふるさと納税は地域活性化につながる

総務省のふるさと納税公式ポータルサイトを見ると、ふるさと納税には3つの大きな意義があるという。

1. 納税者が寄付先を選択するからこそ、自分たちの税金の使われ方を考えるきっかけとなり、納税の大切さを見つめ直す貴重な機会になること
2. 生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域、これから応援したい地域の力になれる制度であること
3. 自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと
出典: 総務省 ふるさと納税ポータルサイト
を、掲げている。
2015年に法改正され、私たちの身近な存在になったふるさと納税。生まれ故郷、もしくは応援したい地域への寄付を検討してみてはいかがだろうか。(提供: みんなの投資online

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