台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の戴正呉社長は、シャープ <6753> の東証一部への復帰について、6月29日か30日にも申請する予定であると語った。昨年8月に債務超過により、二部へ降格していた同社であるが、鴻海の下で業績は着実な改善を見せており、早期の一部復帰へ市場の期待は高まっている。

コスト削減により、7セグメント全てで営業黒字を達成

シャープ
(画像=シャープWebサイトより)

シャープは経営不振により、2016年3月末時点で債務超過に陥っていた。東証の規定により、同年8月に二部へ降格している。2016年4月に台湾の鴻海精密工業からの出資を受け入れる事で合意したシャープは、二部降格が行われた同年8月に出資手続きを完了させ、再建を図っている。

鴻海傘下での再建は今のところ順調に進んでいる。2017年3月期の連結決算では、連結売上高こそ前年同期比17%減となる2兆506億円となったものの、連結営業利益は前年同期の1619億円の赤字から一転、624億円の黒字へ転換している。不振であった太陽光発電事業を含め、7つあるセグメントの全てで営業黒字を確保している。連結純利益は248億円の赤字となっているが、昨年の2559億円の赤字から大幅に減らしており、収益改善が着実に進んでいる事が分かる。

収益改善は徹底したコスト削減によってもたらされている。不採算取引の見直しや決裁範囲の縮小による出費の抑制が効果を生んでいる。数億円あったと言われる社長決裁の金額は300万円にまで引き下げられた。また、人員の配置換えも積極的に行っている。

コスト削減による業績押し上げだけでなく、本業の成長力が問われる