カジノを含む統合型リゾート(IR)で、カジノ運営を一部委託されて富裕層向けにサービスを提供する仲介業者(ジャンケット)について、政府は全面的に排除する方針を固めた。毎日新聞が報じている。金銭(チップ)のやり取りを顧客と事業者間に限定して、カジノの運営委託を禁止する。暴力団など反社会的勢力によるマネーロンダリング(資金洗浄)などを防ぐのが狙い。今秋の臨時国会への提出を目指すIR 実施法案に盛り込む方針である。

ジャンケットとは、カジノに大金を賭ける客を紹介したり、そうした客に宿泊先の手配や資金の融通などを行なったりする仲介業者である。マカオなど海外のカジノでは、正規の運営業者ではない仲介業者が、政府から免許を受けて営業している場合がある。

ATM設置も認めず、ギャンブル依存症の増大警戒

IR構想,カジノ,反社対策
(写真=Thinkstock/Getty Images)

政府の狙いは、こうした仲介業者が不透明な資金の流れやギャンブル依存症を増幅する懸念を排除することである。政府関係者は「有力なカジノ事業者は独自に顧客を管理する能力があり、仲介業者は必要ない」(毎日新聞)と説明している。

政府はすでに、カジノ施設内には現金自動出入機(ATM)の設置を認めない方針を明らかにしている。またクレジットカードの利用も、外国人を除き原則として禁止する。ギャンブル依存症などへの懸念を受けての対策だが、実効性は不透明だ。政府はさらに同様の対策として、カジノへの入場回数に上限を設け、入場料を徴収する方針である。日本国内に住民票がある人は、マイナンバーカードによる入場管理も検討している。また未成年や暴力団関係者の入場や、IR区域外でのカジノ広告も禁止する。

迷走する日本型カジノ運営

東京で5月、国際カジノ会議「ジャパン・ゲーミング・コングレス」が開かれている。欧米、アジアのカジノ運営業者らも500人ほど参加して、IR導入への課題を話し合った。外国人関係者の多くは、競馬や競輪など公営競技の依存症対策に遅れがあるのに、IR事業にも十分な対策が取れるのかと疑問を呈している。迷走する「日本型カジノ」議論に、海外からの落胆の声が大きかった。

「人はなぜギャンブルにはまるのか」「日本には依存症が飛び抜けて多い?」という議論は、IR法案審議以前からあった。依存症を裏付けるデータが多いのだ。厚生労働省の研究班が2013年に実施した調査によると、成人人口の4.8%がギャンブル依存症にかかっているという。日本には536万人の依存症がいる計算になる。米国1.58%、香港1.8%、韓国0.8%など海外の調査結果と比べると、日本の依存症人口比率は飛び抜けて高いとされ、これらがIR構想反対派の論拠の一つとなっている。

日本には宝くじ、スポーツ振興くじ(toto)のほか、競馬、競輪、競艇、オートレースなど公営ギャンブルがある。さらに街中にパチスロがある。それに加えてカジノ、政府はよほど本腰を入れないと対策倒れになりかねない。(長瀬雄壱 フリージャーナリスト、元大手通信社記者)

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