東京都議選の告示が行われ、7月2日の投開票に向けた争いが幕を開けた。小池百合子東京都知事が率いる「都民ファーストの会」が公明党等の支持勢力を合わせて、過半数となる64議席を奪えるかに注目が集まる。立ち向かうのは、都議会最大会派の自民党だ。選挙戦での争点は大きく3つが挙げられる。

豊洲移転問題、都議会改革等、論戦の目玉とは?

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(写真=PIXTA)

1つ目の争点は築地市場の豊洲移転問題である。メディアでも連日取り上げられ、都民のみならず、多くの注目が集まる。自民党は公約集の初めに「緊急提言」と題し、この問題を大きく取り上げた。同党は、豊洲への早期移転を果たし、築地市場跡地を環状2号線へと転換すると主張する。

一方で「都民ファーストの会」は、6月20日に小池都知事が示した方針を基に動く。豊洲市場への移転と併せて、築地市場の再開発を行う案である。自民党等から「決められない政治」と批判を受けていたが、このタイミングで方針を示す事により、それらの批判を骨抜きにした。

共産党や社民党を除き、多くの党が豊洲移転には賛成している。論点は築地市場の今後の活用に絞られつつある。

2つ目の争点となるのは、都議会改革である。「都民ファーストの会」は「古い都議会をあたらしく!」とスローガンを掲げ、選挙戦に挑む。小池都知事が行ってきた議会改革の是非を問う考えであり、過去25年間で議員提案条例の成立が1件であった事や、議会改革度ランキングで下位に沈む事等を問題視する。議会改革条例の策定や議員特権の廃止を目指す。忖度が蔓延る議会と、これまで長く都議会最大会派を務めてきた自民党への批判を強める。

一方の自民党も、都議会改革を進める考えを示す。「口先だけのパフォーマンス」と小池都知事の言動を暗に批判する等、実効性を持った都議会を目指す考えだ。豊洲移転問題でも方向性を示した小池都知事に対し、自民党がどこまで議会改革の本気度を伝えられるかが大きな争点となる。

3つ目の争点は、待機児童問題を中心とした子育て対策である。2017年4月1日時点での都内の待機児童数は約8590万人であり、前年より120人増加している。全国の待機児童数の3分の1以上を東京が占めている。

「都民ファーストの会」は小池都知事が2016年度に定員ベースで約2万人分の保育施設の整備を行った事や対策費用を大幅に増やしている事等の実績を強調する。また、新たに待機児童解消条例を作り、対策を加速させる構えを見せる。

自民党も待機児童の解消を訴えるほか、私立の小中学校の授業料の無償化も謳い、教育に対する意欲を強調する。民進党は待機児童のいる世帯向けに東京都版「子ども手当」の創設を公約に盛り込む。待機児童の解消には各党とも全力を尽くす構えであるが、その公約の実行力と本気度が争点となる。

政策の違いは大きくない 小池都政の是非を判断する選挙戦に