保険は、いわば「人生の転ばぬ先の杖」
一家の大黒柱に万が一何かあったとき、自分や家族が病気やケガで入院したとき、長生きして老後資金が不足したときなどの経済的リスクに備えるものである。
今や生命保険の認知度や加入率は高く、生命保険文化センターの平成28年度「生活保障に関する調査」によると、生命保険の加入者は、男女とも8割以上を超える。年齢別の生命保険加入率をみると、男女とも40〜50歳代で高いという。
だが、これほど多くの人がなんらかの保険に加入しているにも関わらず、保険に関する知識の有無を問われると、「詳しい」と答えた人は1割にも満たない。7割以上の人が「詳しくない」と自己評価しているのだ。
人生において、最も高額な買い物は「マイホーム」だといわれているが、実は、保険で支払う保険料も、その次くらいにお金がかかっている。それだけのコストを費やすのであるから、よくわからないでは済まされない。
それでは、よくある‘残念な’保険選びのパターンを検証しながら、賢い保険選びのポイントをご紹介しよう。
‘残念な’保険選びのパターン(1)
――保険ニーズと商品のミスマッチ
保険を選ぶ際に大切なのは、まず自分にどのようなリスクがあるかを洗い出し、それぞれの保障の優先順位を確認することである。
たとえば、‘おひとりさま’で扶養家族がいないのであれば、高額な死亡保障よりも医療保障の方が優先順位は高くなる。あるいは、配偶者や子どものいるファミリー世帯なら、優先順位は高いものから、生計を支える世帯主の死亡保障・医療保障→配偶者の死亡保障・医療保障→こども(学資)保険・老後の保障となるのが一般的だろう。
ところが、20代の未婚者が、勧められるままに高額な死亡保険に加入したり、将来が不安だからと、民間介護保険や個人年金保険に加入したりするケースがある。これがまさに、自分の保障ニーズと加入している保険商品がマッチしていない例だろう。
とりわけ、その保険に納得し、必要があると感じて加入しているなら別だが、保障内容を理解できていない場合は要注意だ。なぜなら、ムダな保険料を払っている以外にも、どんな保険に入っているかわからなければ保険金等を請求漏れしている可能性があるし、もらえるとアテにしていたのに、給付条件を勘違いして保険金等がおりず、資金計画が狂うこともあるからだ。