大阪市を廃止して特別区に再編する大阪都構想が再び、動きだした。大阪市役所で開かれた法定協議会の初会合では、松井一郎大阪府知事、吉村洋文大阪市長が2018年秋に住民投票を実施したい意向を示すとともに、特別区の区数を4区、6区とする2パターンのたたき台をまとめる方向が決まった。

都構想は住民投票で反対多数により否決され、府議会や市議会の自民党は反対の意向を崩していない。大阪維新の会は再度否決された場合、公明党が主張する総合区の導入も視野に入れている。今後、どんな展開が予想されるのだろうか。

初会合から維新と自民が正面から激突

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都構想の論議が法定協議会で始まった大阪市役所。実現するのは特別区か、総合区か(写真=筆者)

法定協議会は、松井知事、吉村市長と府議会、市議会の議員9人ずつの合計20人で構成された。政党別でみると、維新が松井知事、吉村市長に議員8人を加えた10人。残り10人は自民党5人、公明党4人、共産党1人が占めた。会長には維新から今井豊前府議会議長が選ばれた。

初会合では、松井知事が来秋の住民投票実施を目指す考えをあらためて表明する一方、吉村市長は大阪市の24行政区を4区と6区の特別区にするたたき台作成の意向を示した。特別区の数を4、6区としたのは、住民投票で否決された5区とする案だと市民に違いが分かりづらいとの判断からだ。

しかし、自民党がたたき台の作成に強く反発する。「前回の住民投票の総括ができていない」、「結局はスケジュールありき」との声も上がり、たたき台作成の是非が採決され、維新と公明党の賛成多数で作成が決まった。初会合から維新と自民党が正面からぶつかり合う波乱含みの展開になったわけだ。

都構想は2015年5月の住民投票で得票率0.8ポイントの僅差ながら、否決された。松井知事と吉村市長は2015年12月のダブル選挙で都構想再挑戦を掲げて当選したが、維新以外の各党は既に決着がついたなどとして都構想に反対の立場を取る。

このうち、公明党は大阪市を残したまま、区の権限を強化する総合区を主張している。大阪市も24行政区を8つの総合区に再編する案をまとめている。公明党は総合区についても議論するという条件で今回の法定協議会設置に同意した。

想定される結論は3パターン