国土交通省の調べで2016年度のリフォーム・リニューアル工事費受注高が前年比で約31.6%も上昇したと発表された。そのうち住宅については約37.6%の増加率である。2010年度から建設業許可業者5000に対し調査を実施し、結果を取りまとめたもの。リフォームやリノベーションが人気を集めているが数字的にみてもその結果は明確のようだ。背景や今後のリノベーション市場を検証してみる。

始まりは2012年問題

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(写真=PIXTA)

団塊世代の多くが65歳になり退職を迎えた年は「2012年問題」と呼ばれた。全人口のうち実に25%が65歳以上の年齢層に達したという本格的に高齢化社会に突入した時期でもある。そして彼らの退職金の使い道にも注目が集まった。使い道を調べた調査では34%前後の人達が住み替えやリフォームにより「住まいをなんとかしたい」と考えていた。後を継ぐ者がいない夫婦などは二人で趣味や余生を快適に過ごせるために、サラリーマン時代に購入した家をなんとかしたいと考えた人が多い。同時にこの頃から徐々に不動産価格も上昇していったため、住み替えを断念し、自身の予算内でリフォームやリノベーションを選択した世帯が増えたのだ。

団塊世代が我が家のリフォーム費用を退職金の使い道にしたことがきっかけとなり、リフォーム業界が長年抱えていた問題に新たな動きが始まったのである。

割に合わないと言われたリフォーム受注