所有者が不明になったままの土地が全国土の約2割、その広さは九州にも及ぶという。国土交通省の調べでも50年以上登記簿上の所有者が変わっていない土地が約2割も発覚したというのだ。原因を探ると相続登記が主な原因のようで他人事ではないかもしれないということがわかる。
問題の表面化は震災復興だった
所有者のわからない土地が多いということは、東日本大震災の復興時に一気に表面化した。国による土地収用などが所有者不明で難航したためだ。ここでいう所有者不明は「行方不明」ということではない。登記されている所有者が既に亡くなり、その相続登記がされずに放置されていることを意味している。問題として大きく提起されることはなかったが実は以前からかなりの登記がこのようなまま放置されている。
地方の土地や山岳部の土地などでは相続が発生した場合すぐにそれを登記しない場合が多い。そんな土地を受け継いでも費用がかかるし相続しても仕方がないと放置しているケースだ。日本の登記制度に公信力(登記名義人が真の所有者であるという対抗力)がないことからこのような事態になっている。所有権に関する登記についてはその強制義務がない。この制度を根本的に変えるべきだと唱える専門家も多い。