トランプ米大統領の発言をめぐり足並みが乱れた5月のG7に続いて、注目のG20サミットが7月7日から8日まで、ドイツのハンブルクで開かれる。メルケル首相は「賭けに出た」(ロイター通信)というように、デモ隊の規制が難しく、自由貿易の象徴的な港湾都市ハンブルクをあえて開催地に選んだ。

同首相は気候変動、自由貿易、移民といった議題をめぐって、結束が乱れたG7の結果を受けて、トランプ氏に強い態度で対峙する構えだ。デモを規制し、粛々と行われる従来のサミットとはまったく様相を異にする。

騒然としたデモを前にしたG20開催の狙い

世界経済,
(写真=360b/Shutterstock.com)

サミットがあえてデモ隊を規制しない都市で開催されるのは、特にトランプ氏、ロシアのプーチン大統領、トルコのエルドゥアン大統領らに対して、開かれた民主主義というメルケル首相の強いメッセージである。

警察が予想される25余りのデモや暴動の取り締まりに失敗すれば、9月の連邦議会選挙戦を控えるメルケル首相にとって大きな失点になる。それでもG7の二の舞を望まないメルケル首相は賭けに出るようだ。

G20の焦点は、パリ協定から離脱を鮮明にし、保護主義的な貿易政策、移民に反対するトランプ氏にメルケル首相がどこまでプレッシャーをかけられるかにある。G20の成果は予見できない状況だ。1つ注目される側面は、米ソ首脳会談はじめ日米韓3国首脳会談、米中首脳会談など、G20の合間に予定される各種首脳会談である。

「米国第一主義」と「反逆精神」との激突か?