30代のボーナス事情はどうなっているのだろうか?

日本生命保険が7月6日に発表した夏のボーナスに関する調査結果によると、30代の平均ボーナス支給額は前年から2万2000円増の38万8000円となった。30代は結婚、出産、育児、住宅購入など多くのライフイベントを経験するが、そのお金の使い方について、ボーナスを切り口に探ってみる。

ボーナス増加率は高い30代

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(写真=PIXTA)

日本生命の調査では、全年代の今夏の平均ボーナス支給額は1万円増の51万5000円である。それに対し、30代の平均支給額は2万2000円増の38万8000円であった。30代は支給額こそ全年代の平均より少ないが、増加率は大きいという特徴がある。30代の支給額を男女別に見ると、男性は2万8000円増の47万8000円、女性は1万2000円増の24万8000円となっている。

同調査ではボーナスの使途についての質問も行っている。全体の回答では貯蓄・資産形成の33.1%と最も多く、生活費の補てんの17.7%、ローンの返済の11.2%と続いている。買い物や娯楽やレジャーに使うといった回答の割合は高くなく、ボーナスが入っても消費に回す人は多くない。年代別の回答は開示されていないものの、ライフイベントが重なる30代ではその傾向は変わらないものと推察される。

ボーナスは増えるが自由なお金は少ない?

ボーナス支給額が増加する30代であるが、同時にライフイベントも重なる年代である。30代のお金に関する事情をもう少し追求してみる。

30代は結婚して家庭を持ち、将来の蓄えを築き始める年代である。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(平成28年)」によると、30代の二人以上世帯における金融資産保有額の平均は395万円となっている。20代の平均が184万円である事を考えると、金融資産を増やし始める時期であると言える。

また、保有金融資産の内訳を見ると、預貯金の割合は59%となっており、20代の80.4%から預貯金の割合は大きく減少している。一方で保険が24.3%、有価証券が8.4%と20代と比べて大きく増加している。将来を見据えた保険加入や資産運用の一環としての投資に目が向く年代である。

金融庁の「NISA口座の利用状況調査(平成28年)」によると、昨年12月末時点で30代のNISA口座開設件数は107万口座と20代の2倍以上となる。また、同時点における30代のNISA口座内残高は4500億円であり、こちらは20代の約3.5倍の規模である。

住宅購入を30代で経験する人も多い。住宅金融支援機構によると2016年度におけるフラット35の利用者平均年齢は39.8歳であり、利用者の44.5%を30代が占めている。

結婚、出産、住宅購入などのライフイベントや将来への備えというように30代は何かとお金がかかる年代である。晩婚化の進行が30代に重要なライフイベントが集中する要因となっている可能性がある。厚生労働省の人口動態推計によると、2016年の平均初婚年齢は男性31.1歳、女性29.4歳である。また、第1子出生時の母の平均年齢は30.7歳である。晩婚化が進み、30代に差し掛かるタイミングでの結婚や出産が多くなっており、多くのライフイベントが30代へ集中する事に拍車をかけている。

30代はボーナスが増加する時期であるが、様々な出費が必要となる年代でもあり、自由に使えるお金は少ないと見られる。中にはライフイベントの多さから月々の家計が赤字となり、ボーナスで補てんしているという人もいるだろう。30代のボーナス事情はライフイベントによる制約が付きまとう事がわかる。しっかりと自身のライフプランやマネープランと向き合い、計画を立てる事が重要であろう。(ZUU online編集部)