誰でも売れる営業マンになる方法とは?

売れる営業マン,売り方
(写真=The 21 online)

「営業なんてもう辞めたい」「明日、会社に行きたくない」……毎日のように上司からお尻を叩かれながらも、なかなかモノが売れずに疲弊しきっている営業マン。結果、徐々に人が辞めていき、営業チーム全体が疲弊するという悪循環に陥っている会社は、今の時代少なくない。そんな中、「売れない理由は、売り方が間違っているからです」と答えるのは、「伝説の営業代行」と呼ばれ、現在は国際営業代行協会PDAAの理事長を務める高橋英樹氏。今回、新著『 ごくフツーの営業マンが何でも売れる営業マンに変わるすごい売り方 』を発刊した高橋氏に、「誰でも売れる営業マンになる方法」についてうかがった。

「売れない営業マン」なんていない!

はじめまして! 私、高橋英樹と申します。

唐突ですが、私は「売れない営業マン」なんていない!と、心の底から信じています。

なぜ、そう思うのか。最初に少し、私の経歴をお話しさせてください。

私が新卒で最初に勤めた会社は、営業目標を厳しく達成させることで有名な会社でした。

成績を上げられない営業マンは容赦なくクビ。周りが次々と辞めていく中、私はなんとかいくつもの壁を乗り越えて、自分の部を持つまでになりました。

それからは、クビ寸前の人を見て見ぬふりはできず、私の部に来てもらっていたので、いつしか私の部下は「売れない営業マン」のレッテルを貼られた人たちばかりになりました。

「あれで、まともに仕事ができるのか?」

他部署の人たちはそんなふうに、私たちのことを見ていたようです。

それでも、大方の予想に反して、私たちは部としての営業成績をしっかり達成し続けました。

さらに言えば、早朝出社も残業も休日出社もありませんでした。当初、「もう会社に来たくない」と言っていた部下も「最近、会社が楽しいです!」と元気に言ってくれるようになりました。

そんな経験をした後、私は25歳で独立起業を果たしました。その後、私の会社は創業5年で社員400人を数えるまでになりました。しかも、従業員のほとんどが新卒者、営業に関しては素人の集まりです。

当然ながら、彼らは「売れない営業マン」のレッテルを貼られていた人たちよりも、さらに何の知識も経験もありませんでした。それでも、年商は90億円になりました。池袋のグリーン大通りに自社ビルも建てることができました。

間違っているのは「売り方」だった!

私は何も特別なことをしたわけではありません。営業という仕事に対する気持ちの向け方を少し楽しくなるようにしただけです。

楽しくなると、余裕が生まれます。余裕はモチベーションアップやいいアイデアにつながります。

私の会社は、今ではめずらしくない「営業代行」を最初に宣言した会社でした。

「営業代行」とは、お客様から依頼された商品について、営業のお手伝いをする仕事で、そのための人(マンパワー)を提供することを主な仕事にしています。

でも、私の会社が行っていた「営業代行」は、ちょっと違いました。人はもちろん、知恵もお金も提供して、その商品を「売れる商品」へと一から育て上げることを目的としていました。

1万社以上の企業の相談に乗り、多いときは1日で400件以上の相談依頼をいただいたこともあります。車、保険、不動産、求人広告……と、扱ってきた商品はざっと数えても300を超えます。

「商品はいいんですが、売れないんです。なんとか、ならないでしょうか?」

相談では、そんなふうにおっしゃるお客様がほとんどでした。私が考える営業代行の醍醐味は「今まで売れなかった商品を売れるようにする」こと。私はお客様のその言葉を聞くたび、「待ってました!」と、うれしくなりました。

たしかに、お客様が紹介される商品のほとんどはいいものでした。

では、なぜ売れないのか?

それは「売り方」を間違えているからだ、ということに私は気づきました。その証拠に、売り方を変えただけで、商品はおもしろいほどに売れていきました。

そうです。私たちは「どうすれば、この商品が売れるか?」を考え抜き、あらゆる商品を「売れる商品」に育て上げ、年商90億円にたどり着いたのです。

1体1400万円の仏像が、月に10体も売れた「秘密」とは?

その中には、1体1400万円もする金の仏像もありました。

クライアントの社長さん曰く、「10年以上、1体も売れていない」というその仏像が売り方を変えただけで、月に10体も売れるようになりました。

まず、金の仏像を購入するようなお客様はどんな方か、それをイメージするところから作戦は始まりました。この会社の社長さんは10年間、美術品として、この仏像を売ろうとしていました。

それで売れないのなら、どうしたらいいか?ある程度、お金を持っていて、貯蓄として「金」の購入を考えている方々をターゲットにすべきではないか。その場合、真のライバル商品は「金の延べ棒」です。

そこで、金の延べ棒に勝る、金の仏像がお客様に与えるメリットを探しました。
すると、あったのです!

「墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物」は、「相続税がかからない財産」として国税庁で認めている事例を見つけたのです。「単なる美術品」ではなく「相続税対策の金融商品」として販売する。

これこそ、この金の仏像に最適な「売り方」でした。

あとはターゲットとなる層のお客様に、「金の延べ棒よりも手続きが簡単で、相続税対策にもなる金をご紹介しています」と営業するだけ。1400万円という、なかなか簡単には決断できない額でしたが、「メリットのほうが大きい」と思ってくれるお客様が少なくなかったことは、月に10体も売れるようになったことからわかります。

すごい「売り方」に隠された2つのポイント

このエピソードの中で、私が意識して実践していたことは、たったの2つだけです。

「お客様にとってのメリットは何か?」と、「それをどう伝えるか」。ちょっと、抽象的すぎますね。具体的な例を挙げてみましょう。

A「お子様の中学受験用の教育教材のご紹介です」

B「お子様が第一志望の中学校に合格するための情報提供を行っております」

もしあなたがお客様の立場だったら、どちらの言葉にメリットを感じますか?

ちなみに「B」は、私が実際にテレアポで使用していた言葉です。

「A」は、商品が何であるかを伝えているだけで、この時点でお客様がメリットを感じることはできません。

一方、「B」では「第一志望合格」という具体的なメリットを提示できています。

我が子が第一志望の中学校に合格することで、

①将来、我が子に衣食住には不自由のない生活をさせてあげられる、と思える。
②我が子への教育の義務を果たせた気持ちになる。
③我が子の教育に成功した親として、周囲から認められたような気持ちになる。
④我が子の目標が自分の目標になり、自己実現できた気持ちになる。

などなど、お客様はたくさんのメリットを得ることができます。「B」の言葉を聞いたあと、おそらく、お客様の目の前には、こんな世界に生きている未来の自分や子どもの幸せそうな姿がパッと広がって見えたはずです。

事実、このやり方でたくさんの方に私の話を聞いていただき、驚くほどの成績を上げることができました。

たとえセールスの電話でも、そんな具体的な夢を見させてくれる、自分にとってメリットのある話であれば、「少しは聞いてみようかな」と思ってくれるお客様は必ずいます。

法人であれば、「売り上げの向上」「経費の削減」「作業の効率アップ」といった視点から突き詰めれば、その商品に合ったメリットが浮かんでくるはずです。

大切なのは、「自分の立ち位置を変える」こと。営業マンの立場ではなく、お客様の立場にならなければ、相手の心に響くメリットは出てきません。

この「お客様の立場に立ってメリットを考える」という思考が習慣になると、営業マンとして大きく成長できることは間違いありません。

高橋英樹(たかはし・ひでき)
㈱ブリッジ代表取締役社長CEO/(一社) 国際営業代行協会PDAA 理事長
1979年6月生まれ。25歳で営業代行会社を設立。業種ごとに複数社の営業代行会社の代表取締役を歴任。徹底的に「売り方」にこだわる営業スタイルで、多いときには日に400件、累計1万社以上の企業の営業相談に乗り、車、保険、不動産、求人広告など、300を超える商品を「売れる商品」に変え、創業から5年で社員400名、年商90億円を超える営業代行会社に育てた営業代行のパイオニア。現在も営業の価値を高めるべく複数社の営業代行会社のファウンダーとして活躍し、自らも株式会社ブリッジ代表取締役社長に就任。ただ商品を販売するだけでなく企画開発、営業戦略を担うことで社会システムの変革を可能にする商品提供をサポートする。現在、生涯教育にも力を入れ保育園から福祉施設までの設立、開設、運営にも取り組んでいる。(『 The 21 online 』2017年06月16日 公開)

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