安倍内閣が着々と歩みを進めている「働き方改革」。安倍首相をはじめとしたメンバーによって10回に及ぶ働き方改革実現会議が行われ、2017年3月28日に働き方改革実行計画を決定しました。これから国全体で改革が進められていきますが、すでに中小企業やベンチャー企業は企業労務における様々な苦難を抱えています。その詳細について見ていきましょう。

企業労務の「5重苦」とは一体?

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(写真=fotoinfot/Shutterstock.com)

中小企業やベンチャー企業における企業労務の「5重苦」とは、

・人材が不足し、超売り手市場の中で採用が思うようにできない。
・最低賃金がじわじわと上がっている。
・行政が労働者保護に動き、残業もさせられなくなる。
・労使紛争が増え、ちょっとしたことでも訴訟される。
・社会保険料が上がって、会社の負担になっていく。

上記の5つが、企業を円滑に運営していくうえで大きくのしかかってくる問題となるでしょう。

これからますます活発になっていくであろう「働き方改革」の推進によって、労働者側に対する保護へと関心が向いていく傾向が顕著になっていくと考えられますが、企業労務の「5重苦」が経営者側に与える影響はどのようなものなのでしょうか?

企業労務の「5重苦」が経営を圧迫していく

厚生労働省が2017年5月30日に発表した有効求人倍率は、1.48倍です。前月比で0.03ポイント上昇、昨年度平均の1.39倍と比較すると0.09ポイント上昇しています。バブル期以来の高水準ともいえるこの数字は、良い人材を確保することが難しくなってきていること、求人において売り手市場になっていることを示しています。

また、2022年までには最低賃金1,000円を目指す政府の方針に基づき、全体的に人件費が上がっていくことが予想されるでしょう。「働き方改革」によって働く人の視点に立った考え方で行政が動いていくことにより、長時間労働の是正が進められていきます。残業に対しても今後ますますシビアでデリケートに扱う必要性が高まり、生産性の向上が必須となります。

現在では労災問題で元社員が企業に訴訟を起こすニュースを目にする機会が増えましたが、こうした訴訟の和解には多額の費用が発生します。中小企業やベンチャー企業にとっては企業の存続に関わる位のダメージを受けるかもしれません。社会保険料も年々増えることで会社側の負担も増えていきます。

これらすべてにおいていえることは、費用がかさみ企業の経営を圧迫していくということです。これらの問題から抜け出すにはどうしたらいいのでしょうか。

企業労務の「5重苦」から抜け出すには

そもそも労働者側と経営者側にはしっかりとした信頼関係があったはずです。その信頼関係が崩壊してきていることが企業労務の「5重苦」を生み出しているといえるかもしれません。

採用時、労働者側は自分が働きたいと思う会社を選び、経営者側もいい人材だと評価して労働者を選んだことで雇用関係がはじまりました。はじめのうちはお互いに信頼しあっている良好な環境があったことでしょう。しかし頑張れば頑張った分きちんと評価される環境がなければ、経営者側の知らないうちに労働者側が不満や不信感をため込んでいくことにつながってしまいます。

労働者側の頑張りを正当に評価していくことが、モチベーションや生産性の向上だけでなく良い人材の流出を防ぎ、さらにはさまざまな費用の削減にも効果があるでしょう。結果的に中小企業やベンチャー企業が抱える「5重苦」からの脱却を図ることが望めるのです。

適正な人事評価制度が企業を救う

人事評価制度は社員のモチベーション向上や生産性向上、社員と企業との信頼関係の構築にも大きな効果があるでしょう。加えて、企業を守るという観点から見ても大変重要な制度だといえます。

これから先、国全体が「働き方改革」に取り組んでいきます。適正な人事評価制度なしでは、最終的に中小企業・ベンチャー企業が経営を圧迫されて企業存続の危機に見舞われる場面が出てくる可能性もあります。人事評価制度はそのような企業存続の危機から救ってくれる存在になるでしょう。(提供: あしたの人事online

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