ソウルの地下鉄の車両に1両に2席ずつある「妊産婦配慮席」が賛否両論を呼んでいる。

実際に妊婦が「席を譲れ」と要求する老人男性にお腹を殴られる事件が発生。老人男性は妊娠中と答えた女性が本当に妊娠しているのか確認するといって妊婦のマタニティウェアをめくるなどしたという。

「妊娠したことがえらいのか」

韓国経済,地下鉄,マタハラ
(写真=筆者)

韓国の老弱者席は、日本のシルバーシートと同じく、高齢者、障害者、妊婦、乳幼児連れなどの優先席で、1両あたり12席ある(老弱者席を9席、3席を車椅子やベビーカーのスペースに充当している車両)。

本来は交通弱者の優先席だが、実態は高齢者専用席で、着席している若い妊婦を高齢者が立たせることは珍しくない。妊娠初期の妊婦がお腹を叩かれ、お腹の大きい妊婦を立たせて説教をするケースすらある。高齢者は「最近の若い人は何が大変で優先席に座るのか分からない」と主張。なかには「妊娠したことがえらいのか」と妊婦をののしる高齢者までいるという。

相次ぐ地下鉄車内のマタニティハラスメント対策でソウルメトロが「妊産婦配慮席」を設置したのは2013年。当初はステッカーを貼っただけで浸透しなかったため、2015年にシート、壁、床をピンクで統一した。この「妊産婦配慮席」は老人や身体の不自由な人などの優先席である「老弱者席」とは別モノ。冒頭で紹介した事件は昨年9月、ソウル地下鉄4号線の優先席で起きている。

65歳以上の高齢者は無料、目的なく乗車するケースも