国の後押しによって、ZEH(ゼロエネルギーハウス)と呼ばれる実質光熱費ゼロの住宅の普及が期待されている。そうした中、積水ハウスが8月から、金沢市で全国で初めてのゼロエネルギー賃貸住宅を建設すると発表、話題を呼んでいる。ゼロエネルギーマンションの仕組みやその意義、背景などを探ってみた。

年間エネルギー消費量を正味でゼロに

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(画像=積水ハウスニュースリリースより「ZEH21」イメージパース)

ZEHは、太陽光発電などによる創エネと、省エネ家電や住宅の高断熱化により、エネルギーロスを最小限に抑えて、1年間のエネルギー消費量を正味でゼロに抑える住宅をいう。すなわち、光熱費が実質的にゼロとなる住宅というわけである。

戸建て住宅では、一部の大手住宅メーカーなどがZEHを売り出すなど、普及の兆しがみられるが、マンションなどの集合住宅では、これまで、ZEH仕様を満たすことは困難だった。ZEH仕様は、2015年12月に経済産業省資源エネルギー庁がまとめた「ZEHロードマップ検討委員会とりまとめ」に基づく仕様で、仕様要件をクリアした住宅をZEHと認定し、国が補助金などによる支援対象としている。

集合住宅でZEH仕様を満たすことが難しいのは、全戸に電気を供給するための太陽光発電の設置面積を確保できないことが主な理由である。

1戸当たり太陽光パネル規模は平均2.4kW