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日本はバブル崩壊後20年もの長きにわたり、病を患ってきました。その名も「日本病」。 欧州も現在、「日本病」を患いそうということで対策を急いでいます。さて、この「日本病」一体なんのことでしょうか?それは、慢性的な「デフレ状態」のことです。安倍総理は、デフレ脱却を目指し、経済対策を行っています。デフレとは一体なんでしょうか?そして、その対極にあるインフレとは? 今回は、インフレ・デフレ、そして、それらと通貨価値の関係を読み解いていくこととしましょう。

インフレってなに?

インフレとは、物やサービスの価格が持続的に上昇することを指していいます。実際にはCPI(消費者物価指数)などの各種物価指数の上昇率で判断されます。

皆さんが、インフレと聞いて思い起こすのは、「一晩でパンの価格が何百万にも上がった」というような現象だったりしませんか?極端な例ですが、実際に戦後の日本やドイツはそのようなインフレに襲われました。 そういった急激かつ劇的なインフレのことを「ハイパーインフレーション」といいます。

デフレってなあに?

デフレとは、物やサービスの価格が持続的に下落していく現象のことを言います。 今の日本が慢性的なデフレ状況ですね。バブル崩壊後、20年もの間、日本はデフレに苦しめられています。

インフレとデフレ、どっちがいいの?

単純に考えると、「物は安い方がいいに決まっている!デフレ万歳!」と思われる方もいるのではないでしょうか。100均はありがたいですし、お昼ごはんはワンコイン以上出したくない。 でも、実はデフレってありがたくはないのです。まず、給与が上がりません。「物価も低いから、それで満足できるはず。」いえいえ。人間は不思議なもので、額面で上がらないと不当と思うものなのです。

それに、持続的に物価が下がるとなると、物を買うのを先延ばしにしますよね。「PCが欲しい。でも年を越したらもっと安くなるハズ。」買い控えが起こります。すると、どうなるか。企業業績が下がりますね。結果、また賃金は下がっていく。魔のデフレスパイラルです。

ではインフレだとどうでしょうか? 先ほど挙げたハイパーインフレ、起こった国は経済的に大混乱です。

でも実は、得をした人たちもいるのです。誰でしょうか?そう、「国」です。 多額の国債を発行していた国は、ハイパーインフレによって、実質債務免除となりました。 そうですよね。もし、1億の借金があるとしても、パン一個が1億円になれば、実質借金はチャラです。すごいですね。インフレは債務者が得する現象と言えそうです。何度も言いますが、これは極端な例です。

けれども、インフレが債務者にとってお得な現象というのは事実です。この20年の間住宅ローンを組んでいた人は、慢性的なデフレによって、実質債務は膨れ、大変な思いをされたことでしょう。 インフレであれば、物価が上昇する見込みから、消費者は早く物を買おうとします。すると、企業業績も上向き、結果、賃金も上がる。そして、消費が促進されるといった好循環が作られます。

今、日本は「2%の持続的な物価上昇」を目標に掲げています。つまり、「緩やかなインフレを起こそう」ということですね。 それは、このようなインフレによる好循環を生み出そうということに他なりません。まあ、もう一つ、国の実質借金の棒引きを目論んでいるわけなのですが、出来れば、次世代に負債を残したくないもの。そのあたりはきちんと私たちでケリをつけることとしましょう。

インフレだと円安になるの?

さて、為替の話をしましょう。 インフレとは物やサービスの価格が持続的に上昇することでしたね。これは、 通貨と いう面からみると、「通貨価値が下落する」ということを意味します。 1個100円のパンが1個200円になれば、パンが値上がりしたとも言えますが、 100円ではパンを一個買う力が無くなったともいえるからです。

逆に、デフレとは物やサービスの価格が持続的に下落すること、つまり、「通貨価値が上昇している」と言えそうです。 円安、円高とは通貨価値の表現です。世界には沢山の通貨がある以上、それぞれの通貨の力は相対的なものとなります。ドルに対して、円の価値がどのくらいあるのか。1ドルが100円で買えるのか、それとも120円ないと買えないのか。

インフレが起こっている国の通貨とは、「通貨価値が持続的に下落している」ということです。つまり対外的にみると、同時に通貨安が進行していると理解できるのではないでしょうか。そして、日本はずっとデフレ状況において円高でした。デフレとは「通貨価値が上昇すること」ですね。国内の状況がきちんと対外的にも反映されています。 今、アベノミクス相場でやや修正されつつありますが、まだ、国の実力に比して、通貨は高く見積もられている感がありますね。

おわりに

いかがでしょうか。為替とインフレ、デフレについて理解していただけましたでしょうか。現在日本は脱デフレに向けて邁進しています。ただ金融政策頼みのアベノミクス。一気にインフレにぶれる可能性もあります。預貯金等の資産しか持っていない純債権者はインフレに大変弱いです。これを機に、海外資産への資産分散等を考えられることをお勧めします。

photo credit: Takashi(aes256) via photopin cc