金運を招くご利益アイテムとしてだけでなく、そのかわいさから、インテリアやアクセサリーとしても使われることの多い「招き猫」。ここでは、金運アップを期待できそうな、招き猫とゆかりの深いパワースポット(寺社仏閣)をいくつか紹介しよう。
招き猫発祥の地の1つ「豪徳寺」では白猫「たま」が手招き
招き猫発祥の地の1つとされる豪徳寺にはこんな伝承がある。江戸時代前期、近江彦根藩主・井伊直孝が豪徳寺の前を通ると、寺にいた白猫「たま」が手招きをしており、それに招かれて直孝が豪徳寺の住職とお茶をしていると、にわか雨が降り出した。猫のおかげで雨に濡れずにすんだ直孝は「これは縁起が良い」と考え、豪徳寺を井伊家の菩提寺とする。
その後、豪徳寺では亡くなった「たま」のために、墓と「招福猫児(まねぎねこ)」が作られ、招き猫の発祥の地といわれるようになった。なお、豪徳寺では、「まねき」ではなく「まねぎ」と呼ぶ。
猫の「たま」は「招福観音」として境内の招福堂に祀られており、その前で祈ると家内安全、営業繁盛、心願成就のご利益があるという。また、その脇にある奉納所には数多くの招き猫(豪徳寺で販売している招福猫児)が置かれている。これは、願い事がかなった人々がここへ招き猫を返すことで、さらなるご利益があるといわれているからだ。
不思議な力を持つ白猫のパワーにあやかって金運アップを図りたい人は、ぜひこの豪徳寺を訪れてみよう。
豪徳寺 東京都世田谷区豪徳寺2-24-7 TEL.03-3426-1437
夢枕に立った猫が福徳を招く「今戸神社」
浅草駅から浅草寺を抜けて20分ほど歩いた奥浅草にある今戸神社もまた、招き猫発祥の地とされる。
神社の伝承によると、江戸時代末期、浅草に住む老婆が貧しさのため愛猫を手放したところ、夢枕にその猫が立ち、「自分の姿を人形にしたら必ずや福徳を授かる」と言ったという。そこで、老婆がその通りに人形を作り、浅草寺の参道で売り出してみると評判を呼び、富を手にすることになった。
その伝承から、今戸神社の本殿には二匹の大きな招き猫が鎮座している。その由来から、何か商品を作って売っている人はこちらを参拝すると、ご利益があるかもしれない。
なお、今戸神社の絵馬は「縁結び」を「円」とかけて丸い形をしている。出会いを求める人は、この特徴的な絵馬で縁結びを願ってみるのもいいだろう。「祈願絵馬」と「成就絵馬」が別に用意されているので、願いが叶ったらお礼参りに行くのを忘れないように。
今戸神社 東京都台東区今戸1-5-22 TEL.03-3872-2703
秘仏「猫地蔵」の御開帳が見逃せない「自性院」
自性院は、空海が日光山へ参詣する途中で観音を供養したことをきっかけに創建された寺院だ。地蔵堂には秘仏の「猫地蔵」が祀られており、2月3日の節分会に御開帳される。
この寺は、15世紀の江古田ヶ原の戦のとき、江戸城の築城で有名な太田道灌が1匹の黒猫に自性院へと導かれて危機を逃れたことから「猫寺」という愛称でも親しまれ、その黒猫の死後に地蔵像を造り奉納したのが「猫地蔵」の由来とされる。これは、その名の通り、体が地蔵で顔は猫という世にも珍なる仏像だ。
「猫地蔵」はもう一体あり、こちらは牛込神楽坂の鮱屋弥平が猫面の地蔵像を石に刻み1767年に奉納したもの。これら2体の猫地蔵は以前は常時公開されていたが、長い間、参拝者から顔をなでられて擦り減ってしきたため、保存のため秘仏とされた。
太田道灌の武運と高い能力にあやかって金運アップを図りたい人は、節分会にかかわらず自性院に参拝してみるといいだろう。
なお、自性院には猫を供養する「猫塚」もある。これは猫の皮で作る三味線の職人や三味線を使う芸者が猫の供養のために建てたものだ。飼い猫を亡くしたことのある人はこちらでも手を合わせてみてはどうだろうか?
自性院 新宿区西落合1-11-23 TEL.03-3951-4927
大阪商人が崇敬する「住吉大社」の「招福猫」
大阪の住吉大社では、毎月初めの辰の日(住吉大社のウェブサイトで確認できる)に4つの末社を指定の順で参拝することを「初辰(はったつ)まいり」と呼んでいる。このとき参拝者に授与されるのが「招福猫」という、水玉模様の裃(かみしも)がかわいい土人形の招き猫だ。
この「初辰まいり」は、商売発達を願う大阪商人の間でクチコミで広がり、末社・楠珺社で毎月1体、奇数月には左手を挙げた招福猫を、偶数月には右手を挙げた小さな招福猫の授与を受け集めていく。さらに、それが48体揃うとまとめて奉納し、中猫と交換。さらに、集めた中猫を大猫へ交換する。つまり、大猫を対で揃えるには最短で24年かかる計算となる。
なお、「初辰まいり」のとき以外でも招福猫の授与は受けられる。左手を挙げた猫は「人招き=家内安全」、右手を挙げた猫は「お金招き=商売繁盛」のご利益があるといわれているので参考にしてほしい。
住吉大社 大阪府大阪市住吉区住吉2-9-89 TEL.06-6672-0753
金運アップで定評のある「伏見稲荷大社」にも招き猫が
全国に3万社あるといわれる稲荷社の総本宮・伏見稲荷大社もまた、招き猫発祥の地とされている。
招き猫の置物は当初、素焼の土人形だったとされるが、土人形そのものの発祥地がこの神社といわれており、五穀豊穣のご利益がある稲荷山の土を素焼した土人形(伏見人形)が参拝の土産とされてきた。
その土人形の1つのバリエーションが招き猫で、江戸時代末期に伏見稲荷大社で流行したものが全国各地に広まったといわれる。
伏見稲荷大社は養蚕や機織に優れた渡来系豪族・秦氏が創建した神社であり、招き猫には、蚕(カイコ)の天敵であるネズミから養蚕を守る存在としての意味もあるようだ。
日本の歴史の初期において、さまざまな産業を興した秦氏が作ったこの神社は、商売繁盛のご利益を求めて全国各地からの参拝者が絶えない。境内では稲荷神の使いである狐の置物と一緒に招き猫も売られているので、商売繁盛を願う人は合わせて購入してはどうだろうか。
伏見稲荷大社 京都府京都市伏見区深草藪之内町68 TEL.075-641-7331
(ZUU online編集部)