ペッパーフードサービス <3053> の株価が好調だ。特に2017年に入ってからは株価が一時的に年初から4倍以上の上昇を見せており、投資家からの期待の高さが見て取れる。飲食業が飽和状態で苦戦にあえぐなか、同社には本業の強さの秘密がありそうだ。ここではペッパーフードサービスの事業やサービス内容、業績推移、今後の株価展開をみていこう。

ペッパーフードサービスの事業内容

いきなりステーキ
(画像=Webサイトより)

国内外で肉料理を中心としたフランチャイズを展開する企業。基本的な主力事業は、コスパ重視派を満足させる「ペッパーランチ」と、ちょっと高級路線の「いきなりステーキ」の2本が柱と言えそうだ。

ペッパーランチはコスパの高いステーキ定食が男性を中心に人気を集めていたが、最近では肉厚のステーキを立ち食いで提供する「いきなりステーキ」が話題を呼んでいる。店舗のオシャレさも同時にアピールすることで男性のみならず女性層のファンを獲得することにも成功している。リピート客を生むための施策として食べた肉のグラム数に応じてポイントのつく「肉マイレージカード」も実施して顧客の常連化を狙う。

いきなりステーキ事業に関しては今年2月、ニューヨークに海外1号店「Ikinari Steak East Village店」を出店させている。今後の海外展開にも大いに期待できそうだ。

上方修正連発!これまでの業績推移を確認

ペッパーフードの通期の業績は堅調な推移が確認できる。ここまでの過去3期分と今期会社予想の売上高、純利益、一株利益(最新の17期は修正後の会社予想)の推移は以下のようになっている。

(期 売上高 純利益 一株利益の順)

14年12月期 87億9100万円 5億200万円 57.6円
15年12月期 161億9800万円 4億1100万円 44円
16年12月期 223億3300万円 5億7200万円 58.5円
17年12月期 334億8500万円 12億4600万円 124.8円(会社予想)

売上高の増加に加えて、17年12月期は純利益の大幅な増加が予想されているようだ。

実はこの業績は今期に入り、何度か会社側が上方修正を行っている。当初、最新17年12月期の通期予想は純利益が6億7600万円と予想されていたが、その後4月には7億6000万円へと予想を引き上げ、7月には7億6000万円から12億4600万円へと予想を上方修正させている。

4月以前の6億7000万円と比較すると倍近い純利益を叩き出すことを予想している。これを受けて株価も現在上昇中だ。

大幅な株価上昇、今後はどうなる? 上がりすぎなのか

前述の業績好調を受け、株価も大きく伸びている。2017年1月4日の終値で1188円だった同社株価は、7月20日の終値では4175円まで上昇している。一見すると確かに過熱気味だと考える向きもありそうだ。

そこで業績と株価水準を客観的に比較するために、JPXが公表している「2017年6月業種別PER平均値」と同社のPERを比較してみよう。なお、PERの水準は一般的に、10倍以下が割安とみなされる。

ペッパーフードサービスがPER33.45倍に対し。ペッパーフードの業種であるサービス業は24.4倍となっている。確かに30倍を超えるPERは割安指標のセオリー(10倍以下が割安)通りに考えると、割高であると考えられそうだが、もともとサービス業はPERが高く、その中でも飲食業は業績に対して株価が高い(PERが高い)ことが多い。

こう見ると、株価が4倍になった今でも多少の割高程度の上昇であると言えそうだ。株価は先行き期待感から買われることがほとんどのため、業績鈍化傾向が見られるようになるまでは株価の上昇トレンドが続くことも予想される。

今後の株価展開はどうなる? 押さえておきたい今後のリスク

日本でのステーキ事業に成功しているペッパーランチ事業だが、今後は海外展開の成功や国内事業のさらなる拡大が望まれる。特に海外事業はいきなりステーキをアメリカに初出店させているものの、米国をはじめとした欧米圏はいうまでもなくステーキの本場でもあるため、ファンを獲得するのは日本国内よりも困難となるかもしれない。

海外展開を増やしていくなかで他社にはない差別化したサービスを提供できるかどうかも今後の業績拡大への一つのキーポイントとなるのではあるまいか。今後のペッパーフードサービスの事業展開に期待したいところだ。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学法学部を卒業後、証券会社にてディーリング業務に従事。Yahoo!ファイナンスにてコラムニストとしても活動。日経BP社の「日本の億万投資家名鑑」などでも掲載されるなど個人投資家としても活動中。個人ブログ「インカムライフ.com」。著書に「超優待投資・草食編」がある