2017年1月から、ほぼすべての現役世代へ対象が拡大された「iDeCo(個人型確定拠出年金)」と、2018年1月から積み立て型も選べるようになる「NISA」。どちらも税制面で優遇されているのが特徴で、運用コストに非課税枠や控除が設けられています。

投資で資産形成をしようと考えている人には一度検討してほしいiDeCoとNISAですが、どちらをどのように利用すればメリットが大きくなるのでしょうか。それぞれの特徴を紹介し、非課税枠の違いにフォーカスしてみます。

(写真=STUDIO GRAND OUEST/Shutterstock.com)
(写真=STUDIO GRAND OUEST/Shutterstock.com)

iDeCoとNISAの違いを比較してみる

まずは、iDeCoとNISAを大きく把握するために比較表を見てみましょう。

【iDeCoとNISAの比較】

iDeCo NISA
対象商品 定期預金、保険商品、投資信託など (元本保証もあり) 株式、株式投資信託、ETFなど (預金や保険商品はなし)
利用限度額 年14万4,000~81万6,000円(立場による) 累計の上限なし 年120万円×5年間 累計600万円
税制優遇 拠出:掛け金は全額所得 控除 運用: 非課税 給付:公的年金等 控除 、退職所得 控除 拠出:なし 運用: 非課税 給付:なし
利用期間 60歳まで毎月積立。積立額の変更や中断は年に1回まで 各年分につき5年間 10年目までの繰り越しも可能
解 約 原則60歳まで途中解約は不可 可能
商品の預け替え いつでも可能 1度売却したら、年間限度額の枠は再利用不可

iDeCoは以下の3段階で税制優遇を受けられる制度です。

1. 拠出するときの掛け金が全額所得控除
2. 運用している間の利益は非課税
3. 拠出金の給付時には、受け取り方によって公的年金等控除もしくは退職所得控除

一方、NISAは運用時の利益は非課税ですが、拠出や給付ではiDeCoのような税メリットを受けることができません。さらに、利用限度も年間120万円で5年間と制限があり、最大で600万円までとなっています。

非課税枠の多さからすれば断然iDeCo?

非課税枠の多さもさることながら、掛金のボリュームにもiDeCoとNISAには大きな差があります。

iDeCoは年金制度であるため、始める時期によって違いはあるものの長期で運用していくことを前提として設計されています。それに対してNISAは年間の限度額が120万円で最大5年間と決められていて、投資可能な金額は最大で600万円に留まります。

非課税枠の多さとそのベースとなる投資額の利用限度をみれば、iDeCoのほうが断然お得といえますが、実はiDeCoにも60歳にならないと引き出せないというデメリットがあります。

老後の資産形成を考えて利用するのであれば、文句なしにiDeCoがおすすめですが、現役を引退する前、マイホームの購入や子どもの教育資金といった目的があって中期的な運用を検討する場合は、引き出しが自由なNISAの方がいいかもしれません。

2018年1月から登場するつみたてNISAの動向もチェック

NISAの自由度を受け継ぎ、積立期間が最大20年と拡大される「つみたてNISA」が2018年からスタートします。1年間で利用できる金額は40万円ですが、トータルで800万円まで利用枠が広がるのが特徴です。iDeCoのように長期で運用でき、しかもNISAと同じようにいつでも引き出すことができる商品です。

ただし、現行のNISAとの併用はできないため、現行型か積立型かを選ばなければならないので注意が必要です。また、対象商品など検討中の部分もあるので、制度がスタートするまでは最新情報をチェックしましょう。

非課税枠の利用だけを比べればiDeCoが有利のようですが、目的によって資産運用の手段をうまく使い分けることが大切です。

(提供: IFAオンライン

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