JR九州が新幹線と在来線を合わせた全22路線61区間の利用状況をまとめたところ、都市開発が進む福岡市近郊で利用客の伸びが大きい一方、九州南部を中心としたローカル線で利用客の減少が著しいことが明らかになった。

1日1キロ当たりの平均通過人員を示す輸送密度は2016年度、日南線や肥薩線などの計11区間で1000人を下回っている。JR北海道では既に、営業路線のほぼ半分に当たる区間で運行の見直しが始まっているが、JR九州のローカル線も楽観を許されない状況であることが浮き彫りになった。

8路線11区間は輸送密度1000人未満

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特急ゆふいんの森、JR博多駅で(写真=Lee peiming/Shutterstock.com)

JR九州が路線別の利用状況を公表するのは初めてで、2016年度と会社発足初年の1987年度の輸送密度を明らかにした。運休中の豊肥本線肥後大津-宮地間はデータ開示していない。

それによると、旧国鉄の分割民営化当時に鉄道からバスへの転換を促した輸送密度4000人未満は、日豊本線の南宮崎-都城間、日田彦山線の城野-田川後藤寺間、久大本線の日田-湯布院間、唐津線の久保田-唐津間、指宿枕崎線の喜入-指宿間など14路線の26区間に上った。

JR北海道が単独で運行が困難として路線の見直しについて沿線自治体と協議を始めた輸送密度2000人未満は、日豊本線の都城-国分間、宮崎空港線の田吉-宮崎空港間、唐津線の唐津-西唐津間、三角線の宇土-三角間、日南線の田吉-油津間など13路線の18区間が該当した。

輸送密度1000人を割り込んだのは、筑肥線の伊万里-唐津間、筑豊本線の桂川-原田間、日田彦山線の田川後藤寺-夜明間、豊肥本線の豊後竹田-三重町間、肥薩線の八代-人吉間、吉都線の吉松-都城など8路線の11区間に及んでいる。

輸送密度が最も低かったのは、肥薩線の人吉-吉松間108。次いで豊肥本線の宮地-豊後竹田間154、日南線の油津-志布志間222、筑肥線の伊万里-唐津間236、日田彦山線の田川後藤寺-夜明間299と続く。

1987年度には輸送密度1000人を下回ったのが4路線4区間しかなかっただけに、その後の急激な人口減少がローカル線の利用客を減少させていることをうかがわせた。JR九州の青柳俊彦社長は記者会見で「ローカル線全体の利用者は1987年度に比べ、ざっと3分の1程度になった」と語った。

篠栗線など福岡近郊路線は輸送密度が急上昇