ネットニュースサイト「今日頭条」は世界で最も従業員の多い会社トップ9を発表した。9社中6社が中国企業であり、その従業員数の合計は1000万人に近いという。またこのランキングは米国Fortune誌グローバル500とはかなりの程度相関している。以下ランキングを見ていこう。

9位~5位、米中の郵便局が仲良くランクイン

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(写真=Tom Wang/Shutterstock.com)

第9位 中国航空工業集団公司

従業員50万人。グループ会社140社、そのうち上場会社は約30社。Fortune誌グローバル500に初めてランクインした中国の軍需企業。戦闘機“殲10”“飛豹”“山鷹”などを製造している。

第8位 美国郵政(アメリカ合衆国郵便公社)

従業員60万人。米連邦政府内の独立行政法人。21万8684台の配送車両を保有。

第7位 大衆公司(フォルクスワーゲン)

従業員61万人。世界4大自動車メーカーの一つで、欧州では最大。中国進出の最も早く。1978年、鄧小平と交渉し現地法人を設立、1984年、生産会社「上海大衆」からサンタナを市場へ投入。このアドバンテージと信用は大きく、同社は今でも中国最大の販売数を誇る。

第6位 中国国家電網

従業員92万人。国の電力網の建設と運営の“核心企業”で、エネルギーの安全供給で国民経済の命脈を握る重要企業。業務範囲は国土の88%、人口11億人を覆う。

第5位 中国郵政

従業員93万人。 国務院財政部の出資による中央管理国有企業。2009年世界一の郵便網と認定された。

4位~1位 国有石油企業2社がランクイン

第4位 中国石油化工集団(CINOPEC)

従業員97万人。1998年、元となる中国石油化工総公司を改組する形で発足した国有企業。香港、ニューヨーク、ロンドン、上海の各市場に株式上場している。Fortune誌グローバル500の2017年の3位。

第3位 台湾鴻海科技集団(富士康、フォックスコン)

従業員116万人。世界最大のEMS(Electric Manufacturing Service)企業。Fortune誌グローバル500の27位。

第2位 中国石油天然気集団(CNPC)

従業員158万人。国有骨幹企業。石油ガス、エンジニアリング、石油設備建設など世界的総合エネルギー企業。Fortune誌グローバル500の4位。

第1位 ウォルマート

従業員230万人。世界一の小売チェーン。全世界15カ国で展開、店舗数8500店。中国進出は1996年。2012年には380店舗を展開していたが、現在では、不採算店舗のスクラップ、売場面積の圧縮、ネット通販2位の「京東」との間で“戦略的合作”を進めている。Fortune誌グローバル500、4年連続首位。

Fortune誌では非常に高い評価だが

注目は第6位の中国国家電網である。2017年のグローバル500では、2016~17年と連続でウォルマートについで2位にランクされている。歴史を見ると2002年、発送電分離の国策により配送電のみを受け持つことになったとあるから、典型的な中国の国策企業である。

また従業員数第4位の中国石油と第2位の中国石油天然気は、それぞれ3位と4位である。つまり中国の国有エネルギー企業が2、3、4位にランクされ、1位のウォルマートと5位のトヨタ自動車の間にいるのだ。1位と5位は消費者の方を向いた企業である。

しかし2~4位はどうだろう。国民に高い電気と石油製品を買わせることがその存立基盤となっている。財務諸表の比較検討だけで同じランキング対象に入れるべきだろうか。Fortune誌自体にも問題がないとは言えまい。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)