ドンキホーテホールディングス <7532> の大原孝治社長兼CEOがグループ事業説明会で銀行業や金融業は「当然視野に入っている」と述べた。小売業は日々、レジの中の現金の完全かつ安全な預け入れが必要となる。大原社長兼CEOは「売上金は日々溜まり、集金で回収してもらう。ATMがあればそこに入れれば良い」と語った。

コンビニやスーパーなど流通企業では、セブン&アイ・ホールディングス <3382> やイオン <8267> がすでに銀行業を行っているほか、ローソン <2651> が3社目の参入に向けて準備会社を設立済みである。ユニー・ファミリーマートホールディングス <8028> も検討中で、大手流通業の銀行業参入の動きは、既存も含めて出そろった感がある。

後発ローソンやドンキはセブンなど先行社を意識

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(写真=Pornroj Sattayasansku/Shutterstock.com)

ドンキホーテHDは、2017年6月期に32店舗、18年6月期には30店舗強(M&Aは除く)の積極的な新規出店を計画している。大原社長兼CEOは、銀行業進出の背景として、「総合スーパーの撤退店舗は思ったより少ないが、風営法の改正によって、パチンコ店の廃業がでている」と述べ、得意とする「居抜き物件」に取得に意欲を示している。

一方、コンビニエンスストア国内店舗数3位のローソンは16年11月25日、銀行業参入に向けた準備会社「ローソンバンク設立準備」を設立した。会長には財務省出身の岩下正氏、社長には新生銀行の山下雅史常務執行役員が就任済み。資本準備金を含む資本金は10億円で、ローソンが95%、三菱東京UFJ銀行が5%を出資する。参入時期は明らかにされていないが、競合するセブン&アイを意識して、早ければ18年中の実現を目指しているようだ。

セブン&アイは金融部門の存在感が増している。セブンイレブンにあるATMは、傘下セブン銀行のATMが充実している。同銀の2016年3月期の経常収益は1216億円(前年対比17億円増)、経常利益367億円(同4億円減)、純利益251億円(同4億円増)だった。これに対して、ローソンのATMを運営するローソン・エイティエム・ネットワークス(LANs)の経常利益は、約57億7000万円にとどまる。

独自の魅力ある金融サービス開発が課題