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Written by 平田和生 254記事

金融商品として分析

「宝くじ」の平均リターン 1枚買うと159円の損失?

今年も恒例のサマージャンボ宝くじの抽選会が8月20日、「2017神宮外苑花火大会」開催前に同会場で行われた。予定通り完売していれば延べ105人の億万長者が誕生している。1等5億円と前後賞で7億円の高額当選者も20人近く出ただろう。宝くじを金融商品として分析してみた。

宝くじの平均リターンは47%

サマージャンボ,宝クジ
(写真=PIXTA)

宝くじは販売額から賞品や経費を控除後した約40%が収益金として発売元の全国都道府県や20の指定都市の公共事業等に使われることが法律で決まっている。経費には、みずほ銀行の販売手数料や広告宣伝費なども含まれている。

15年度の実績では、宝くじの売り上げが9154億円、賞金として払い戻した額が4303億円。払い戻しのリターン率は47.0%だった。経費は1098億円で売り上げの12.0%、社会貢献広報費が114億円で1.2%、収益金は3639億円で39.8%。収益金が公共事業に投じられる。

今年のサマージャンボでは、予定では2000万枚600億円を販売予定していた。1等の5億円が20本、1等の前後賞の1億円が40本など賞金総額は約288億円。そのリターン率は約48%。仮に600億円の宝くじを全部買い占めると288億円しか戻ってこない。ジャンボ宝くじは1枚300円だから、1枚買うと期待収益は141円。1枚買えば確率的には159円の損失になる計算だ。

宝くじ市場は18年ぶりの8000億円割れ

16年度の宝くじ売上は8452億円と前年度比7.7%減となり、18年ぶりの8000億円割れとなった。ジャンボくじの販売が11.5%減の3746億円となったことが響いている。ピークは05年度の1兆1047億円で以降トレンドは減少している。ジャンボシリーズは16年度の宝くじ売上の44.3%を占めている主力商品だけに、宝くじの売り上げを伸ばすにはジャンボのてこ入れが必要だ。

ジャンボ売り上げを伸ばすためにさまざまな工夫をしている。今年のサマージャンボは3本建てのラインナップになった。元祖の「サマージャンボ」は1等の5億円が20本で前後賞が1億円で40本。1等は1000万枚に一枚。ざっくり言うと東京都民全員が買ったとして一人だけ当たる確率だ。「サマージャンボミニ」は1等が1億円で45本。200万枚に一枚。前後賞がないため、バラで買うことを想定している。「サマージャンボプチ」は高額当選がなく1等は100万円だが当選は5000本。確率を高くし、1万人に一枚当たるようになっている。毎年、売り上げを増やすためにTV広告などを大々的に展開しており、それもファンの楽しみの一つだ。今年は役所広司さんと島崎遥香さんが起用された。

宝くじは社会貢献活動に夢がついている

宝くじのリターン率は確かに高くない。公営ギャンブルの競馬、競輪、競艇、オートレースのリターン率は約75%だ。サッカーくじの「TOTO」は宝くじと同程度で約50%。実は、宝くじやサッカーくじが一概に低いとも言えない。それは、公営ギャンブルの当選金には所得税と住民税がかかるからだ。50万円までは控除されるが超えた場合は一時所得として確定申告して納税する義務が生じる。税額は累進課税になるので簡単には計算できないが、1億円勝てば税引き後の手取り収入は60%を割るようだ。高額リターンの場合、それほど宝くじとの実質リターンの差はない。

宝くじは、元来が公共事業を支援するために国に認可されたものである。ギャンブルと考えずに社会貢献活動での「寄付」行為におまけのクジがついていると考えてはどうだろう。実際、95年の阪神淡路大震災、04年の新潟中越地震、11年の東日本大震災時には、震災復興支援の「復興宝くじ」が発売されて、収益金の一部が被災者支援に使われた。8月17日からは「東京2020大会協賛くじ」が発売される。収益金の一部が東京2020オリンピック・パラリンピッに活用される。

ボラティリティを買うという考え方

金融商品で考えてみると、そもそもリターンとリスクはトレードオフというのが当然。期待収益が高ければ高いほどリスクも高くなる。日本の公的年金を運用しているGPIFの資産運用の前提は、国内の経済成長が中位の場合で、株式投資の名目期待リターンは5.9%、債券投資の場合で2.3%程度しかない。

サマージャンボを10枚連番で買って7億円が当たった場合の収益率は約23万倍だ。平均リターンで考えるなら、宝くじは金融商品としては意味がない。ただ、これだけの倍率に魅力がないわけではない。宝くじを買うことは、金融市場でいうボラティリティを買うこと。ディープ・アウト・オブ・ザ・マネーのオプションを買うようなもの。オプション価値はボラティリティが高いほど高額になる。オプションの買いは、最大のロスは買値だけであり限定的、最大期待値は23万倍だ。

宝くじを、公共事業に寄付をすること、あくまで遊びのような感覚で買うこと、と考えれば全くその行為に問題はない。確率的には3枚買えば、それ以上買ってもあまり変わりがないという試算もある。買いすぎだけには注意したい。

平田和生(ひらた・かずお)
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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