さらに新リサーチ・ツールを取得

タカラバイオ株式会社は、2014年6月24日、iHeart Japan株式会社と実施許諾及び技術移転契約を締結しました。この契約の締結によってヒトiPS細胞をはじめとする幹細胞から分化誘導された心筋細胞や血管系細胞を利用したリサーチ・ツールの製造販売、本リサーチ・ツールを使用する受託サービスが可能となります。

本リサーチ・ツールとして複数の製品が想定されてますが、その中でも主力製品となることが期待されている製品は、医薬品候補物質がヒトに投与された時に不整脈などの副作用を起こすか否かを評価しようとするリサーチ・ツールです。今も製薬企業は開発中の臨床試験で医薬品候補物質をヒトに投与する前には、動物レベルと試験管レベルの評価試験を行うことで、ヒトに投与しても安全であろうと判断される場合にのみその医薬品候補物質について臨床試験を進めるという形を取っています。

しかし動物とヒトとの種差などが原因で前臨床段階では有害反応を確実には検出できない状況にあるので、ヒトに投与されてから初めて有害反応が発見されることもあり、開発中止や販売中止を余儀なくされるという事態に至るということも起きています。このリサーチ・ツールであれば、ヒトに投与した場合に起きる作用を極めて高い精度で予測できると期待されていて、動物実験や臨床試験の一部を試験管レベルの評価試験で代替が可能になることによって、医薬品開発のリスクやコストを大幅に削減できるとも期待されています。

リサーチ・ツールに関わるiHeart社とは

iHeart社は、国立大学法人京都大学iPS細胞研究所の山下潤教授の研究成果を産業に応用するために2013年に設立されたベンチャー企業で、iPS細胞などの多能性幹細胞から心血管系細胞への分化誘導技術が強みの企業であると言えます。タカラバイオはiHeart社より技術移転を受けることで、本リサーチ・ツールの製品販売・受託サービスを2年以内には開始する予定としています。

契約の対象になる事業としては、ヒトiPS細胞などから分化誘導された心筋細胞や血管系細胞を利用したリサーチ・ツールの製造販売、リサーチ・ツールを使用する受託サービスを主としており、iHeart社が保有するこれらの事業に関する特許や技術ノウハウに関して、日本、アジアで独占的に実施する権利の許諾を受けて契約に基づいて対価を支払うという形をとるようです。

今後のタカラバイオ株価はどうなる?

タカラバイオの総利益が125億円に達しており、巨利を生むスーパーバイオベンチャーともいえる企業に成長しています。今後タカラバイオの株を10年間保有していればその株価20~50倍くらいになるかもしれません。リサーチツールを利用することで今までにない評価試験が実施可能となることからそのコストを大幅に削減し、またそれに伴うリスクカットも行えることで業績が向上していくことが予想されます。さらにiPS細胞の研究には国も積極的に予算を投入する可能性が高く、前向きな形なのでタカラバイオの相場も上向きと判断できます。

これだけの圧倒的巨利を生むバイオベンチャーはタカラバイオだけなのに、何故か他のバイオベンチャーに比べて安すぎるような感覚にもなりますが、いずれ確実に大幅修正されると予測されます。