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Written by 黒田 尚子 5記事

デキる人の"マネー術"(4)

育児と介護の「ダブルケア」どう対応? 毎月の平均負担額は8万円以上

仕事を休んで出産・子育て中であればご存じの方も多いだろうが、2017年10月から「育児・介護休業法」が改正される。

この法律は、小さなお子さんや介護が必要な家族を抱えながら仕事をする人のためのもの。すでに同年1月から「介護休業の分割取得」(原則1回→3回を上限に分割可)や「介護休暇の取得単位の柔軟化」(1日→半日(所定労働時間の1/2)単位の取得可)など介護に関わる改正がスタートしている。

改正の目的はより一層の育児や介護と仕事の両立の実現

育児,介護,制度
(写真=PIXTA)

今回の改正点は、育児に関わるもので、おもなポイントは次の3つ。

(1)最長2歳まで育児休業の再延長が可能となり、育児休業給付金の給付期間も2歳まで
(2)出産予定の従業員に事業者が育児休業等に関する制度(育児休業中・休業後の待遇や労働証券など)を知らせる努力義務が創設
(3)育児目的休暇(配偶者出産休暇、ファミリーフレンドリー休暇、子の行事参加のための休暇など)の導入に対する努力義務が創設

すでに先行している介護の改正とともに、育児をしながら働く労働者に対する職場環境づくりや柔軟な対応などを目的に行われる。
改正の詳細は、厚生労働省のHP(【平成29年10月1日施行対応】育児・介護休業法のあらまし)に掲載されているので、そちらでご確認いただくとして、今回は、これら2つの就労の継続を困難にする問題、育児と介護を同時に担う「ダブルケア」について考えてみたいと思う。

ダブルケアにかかる毎月の平均負担額は8万円以上!

内閣府の「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書」(平成28年4月)によると、推計されるダブルケア人口は約25万人という。

性別でみると女性約17万人、男性約8万人となっており、約7割を女性が占めている。しかし、男性も他人事と思ってはいけない。親の介護者=長男の嫁といった「常識」はもはや通用しないのだ。自分の親の介護を優先させたいからと、離婚届を置いて出て行った妻もいる。

前掲の調査によると、ダブルケアを行う人の平均年齢は、男女とも40歳前後。育児のみを行う人と比べると、4~5歳程度やや高く、介護のみを行う人と比べると、20歳程度低い。

そして、ダブルケアを行う無業女性の約6割が就業を希望している。
それはそうだろう。育児も介護もおカネがかかるものなのだから。

ソニー生命保険と横浜国立大学、ブリストル大学(英国)が行った「ダブルケアに関する調査(全国の大学生以下の子どもを持つ父親・母親対象)」(2017年3月)によると、ダブルケアに関する毎月の平均負担額は8万1848円となった。

その内訳は、「親(義理の親)の医療・介護関連費用(介護用品や移動費も含む)」が2万9623円、「子どもの保育・教育関連費用(習い事や塾等も含む)」が3万3087円、「その他」が1万9138円である。

40代前半の平均年収が約400~500万円程度だから、毎月8万円以上の支出はかなりの痛手に違いない。そのため、親の医療・介護関連の費用を全て「親の年金や預貯金」から出している人が2割いるという。

利用できる制度は原則すべて「セルフサービス」と心得ておこう

では、ダブルケアとなった場合、どうすれば仕事と両立することができるのだろうか?

まずは、各種の制度を上手に活用することが第一だ。今回改正された育児・介護休業法に限らず、育児や介護については、負担を軽減するさまざまな制度・サービスが設けられている。自治体などに問い合わせれば、利用できる制度について相談に乗ってくれたり、その地域で利用できる行政サービスなどをまとめた小冊子などを配布したりしている。また、勤務先の就業規則や福利厚生のしおりで、休職制度や時差出勤制度、短時間勤務等の社内制度を確認してみよう。

ただし、これらはアクセスしやすいよう、きちんと整備されているとは言い難い。日本の縦割り行政の弊害から、それぞれの制度やサービスで窓口が異なることは多々ある。また「困っていたら誰かが助けてくれるに違いない」という他人任せのスタンスも控えたい。原則すべてセルフサービスで、自主的に行動しなければならないことを肝に銘じておこう。

自分の現状・困りごと・解決策を周囲に「伝えるチカラ」を磨く

制度やサービスを活用することの重要性は、前掲の調査などから、ダブルケア経験者が仕事の業務量や労働時間を変えずに済んだ理由として「病院・老人福祉施設等が利用できた」「育児サービスが利用できた」「両立可能な勤務条件で働くことができた」などが上位に挙がっている点からも伺える。

一方、ダブルケアと仕事の両立で苦労した点として「ダブルケアという問題が職場で認知されていない」という問題もある。たしかに経験者でなければ、その大変さはわからない。しかし、ダブルケアといっても、その状況は個々人によってケースバイケース。

仕事との両立を困難にしている原因が、介護にしろ、育児にしろ、病気にしろ、会社員の場合、職場の上司や同僚に自分の現状を的確に伝え、周囲の理解と協力を得ることが不可欠だ。つまり、伝えるチカラ、職場でのコミュニケーション能力が重要だということだ。

実際、何か問題を抱えていても、仕事との両立を上手にできている人は、自分の現状を周囲に伝える能力が優れている。そして、希望の仕事ができなかったり、休職せざるを得なかったりしても、複数の選択肢の中から、自ら「納得感」を持って選び取れるかどうかも重要なポイントだと感じる。

このように、今の状況から自分の「できること」「できないこと」を明確にし、子育て、介護、仕事を両立させるバランス感覚が取れた人こそ、これから困難な事由があっても柔軟に対応していけるのではないだろうか。

進化論を唱えたダーウィンが示したといわれる「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」という言葉が、今の時代、より必要なのではないかと考えている。

黒田尚子FPオフィス代表
CFP®資格、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CNJ認定乳がん体験者コーディネーター、消費生活専門相談員資格を保有。立命館大学卒業後、日本総合研究所に入社。1996年FP資格取得後、同社を退社し、1998年FPとして独立。新聞・雑誌・サイト等の執筆、講演、個人向けコンサルティング等を幅広く行う。2009年末に乳がん告知を受け、「がんとお金の本」(Bkc)を上梓。自らの体験から、病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。著書に「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)など。

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