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実際はどうなのか

不安を煽る「老後破産」のウソ 大江英樹

老後資金は「1億円」も必要ない!?

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(写真=The 21 online)

人生の後半戦に突入した40代にとって、最大の不安は「老後のお金」だろう。「老後破産」「必要なお金は1億円以上」などという報道もしばしば聞く。だが、実際はどうなのか。退職時の貯金が150万円でありながら、充実した”老後”を送る経済コラムニストの大江英樹氏に、リタイア世代の現実と40代からすべき準備についてうかがった。

たいていの人の老後は「どうにかなる」

「老後の生活には1億円かかる」老後特集や金融商品の売り込みで最近、よく目にするフレーズです。定年後85歳までの25年間で1億円、月額35万円──。しかし、この数字を鵜呑みにしてはいけません。現役世代の方は老後の生活がイメージしにくいため、画一的な数字を信じがちなのです。

結論から言うと、1億円という金額はある人には正解ですし、ある人には不正解。なぜなら、どんな生活を送るかで老後の費用は違ってくるからです。

そこで、私のケースをご紹介したいと思います。私が60歳で定年退職した時点で、貯金は150万円しかありませんでした。そこで退職前後に家計簿をつけて、収支を計算してみたのです。その結果、現役時代は毎月35万円かかっていた夫婦2人の生活費が、退職後は22万円にダウンサイジングしていました。とくに節約を心がけたわけではなく、退職前に住宅ローンの支払いが終わり、現役時代に〝必要経費〟だった洋服や外食にかかる費用が減り、この金額に落ち着いたのです。

少し多めに見積もって生活費を月25万円とすると、85歳までの25年間で7500万円。サラリーマンの場合、60~85歳の年金総額は6750万円(夫の標準報酬月額38万円、妻は専業主婦、加給年金なし)ですので、生活費はまかなえます。さらに退職金として1000~2000万円が入れば、ひとまず安心というわけです。もちろん、住宅ローンが終わっていない場合などは別ですが、一般的なサラリーマンであれば、「公的年金+退職金」で老後の基本的な生活費はまかなえると考えられるのです。自分の老後を「見える化」するには、まず今の月間生活費を割り出してみてください。

ローン支払いや諸費用など老後に不要になる費用を差し引くと、ご自分の老後の生活費が見えてくるはずです。その金額と将来もらえる年金支給額が釣り合っていれば、むやみに不安になる必要などないのです。

「+αの収入」で余裕の老後

とはいえ、ここまでの話は、あくまで「生活費」の話です。

年金はいわば国から支給される弁当のようなもの。好きなものを食べたり、酒も嗜たしなみたいと思ったら、自分で用意しなければなりません。

そのためには「70歳」を自分の定年と見定めて、60歳以後も働いて収入を得る環境作りを今から始めることです。その方法の一つとして、私は「定年起業」を提唱しています。起業といっても、大きな事業を成せ、と言うわけではありません。月3万円でも5万円でも、好きなことで収入を得る仕事を作るだけ。本業で生計を立てなければならないプレッシャーがないため、心にゆとりが生まれ、楽しく働くことができます。社会とのつながりもできるので、定年後に孤立するリスクも減らせるでしょう。

ちなみに、年金受給開始を遅くすれば、トータルでもらえる金額が大きくなるので、健康なうちは、できるだけ年金に頼らず働きましょう。

そんな年齢まで働けない、と思われる方もいるでしょう。ですが、公的年金制度ができた1961年、男性の平均寿命は約66歳で、定年退職は55歳でした。『サザエさん』に登場する波平さんが何歳かご存じですか。実は54歳、定年1年前という設定なのです。それに比べ、今の54歳は芸能人でいえば、唐沢寿明さんや藤井フミヤさんです。現代の男性の平均寿命は約81歳、現役で働ける年齢はどんどん伸びているのです。

幸せな老後のために40代からすべきこと

「+αの収入」を捻出するために、40代からできることは他にもあります。

まず、「保険の見直し」で家計のムダをなくすこと。火災保険と自動車保険は必須ですが、過剰な医療保険は必要ありません。なぜなら日本には優れた「健康保険制度」があり、医療費がかさんでも高額療養費制度でほとんど戻ってくるからです。私は40歳になったとき、医療保険と生命保険をすべて解約しました。

それから老後に好きな仕事をするために、「社外人脈を広げる」こと。極論すれば、50歳以降は会社の人とは一切つき合わない。この歳になったら社内のポジション争いはすでに勝負ありです。社内での野心はそろそろ成仏させて、一個人としての働き方を見据えて動くべきです。

そして最後に「人のためにお金や労力を使うこと」。人に役立つことを積極的にすることで生まれた信頼が、退職後の仕事を切り開くチャンスとなるのです。

60代以降は「年金」という心強いバックグラウンドができることで、より気軽に働くことができます。いわば「ワーカー」から「プレイヤー」になれるのです。こんな黄金期にさっさと隠居してしまうのはあまりにもったいない。まずは老後の収支を明らかにして将来の心配を一掃し、60代以降の豊かな働き方のために今から動き出しましょう。

大江英樹(おおえ・ひでき)経済コラムニスト
1952年、大阪府生まれ。大手証券会社で個人資産運用業務、企業年金制度のコンサルティングに従事。定年後の2012年にオフィス・リベルタス設立。現在、年間140を超える講演、月12本の連載を抱え、多忙な日々を過ごす。著書に『定年男子 定年女子』(日経BP社・共著)など多数。(取材・構成:麻生泰子)(『The 21 online』2017年9月号より)

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