インド政府がブロックチェーン・プラットフォームを導入する。詳細については明らかにされていないが、ブロックチェーン技術を利用した様々な銀行業務関連サービスの開発を視野に入れているものと推測される。

アーンスト・アンド・ヤング(EY)はFinTechの発展度では、「インドが中国を超える」と予想している。

クラウド、サイバー・セキュリティーなどの特許も出願中

ヒンズービジネス・タイムズ紙の報道 によると、インド準備銀行(RBI)のR&D部門IDRBTのディレクター、ASラマサストリ氏は、自社の主催するバンキング・テクノロジー・アワードに参加した際、「ブロックチェーン・プラットフォームを近日中に導入する」意向を明らかにした。

このプラットフォームを通し、多様なブロックチェーン・サービスが展開されるものと予想される。

IDRBTは2016年、RBIの要請に応え、ブロックチェーン・アプリケーションの領域の研究を進めていた(コインデスク より)。2017年1月には、国内銀行とNPCI間のブロックチェーン取引の実証実験を行い、デジタル・ルピーの開発に着手するよう提案している。

RBIエクゼクティブ・ディレクター、スダ―シャン・セン氏は、新たなテクノロジー・プラットフォームの商業的な成功を目指し、中央銀行とIDRBT、FinTech企業の連携に期待を寄せている。

IDRBTはほかにも、サイバー・セキュリティー、クラウド・コンピューティング、アナリクスの領域に関するテクノロジー・ソリューションの特許を3件申請中だ。

FinTech保険サービスの普及率ではインドが世界一

こうしたインドFinTechの急激な跳躍には、世界各国が一目を置いている。

アーンスト・アンド・ヤング(EY)は2万件を上回るオンライン・インタビュー に基づいて、世界各地におけるFinTechの浸透度を分析した報告書を発表。その中で、「FinTechの発展に関しては、インドが中国を追い越す」との見方を示した。

調査の対象となった20カ国のうち、2015年のFinTechの普及度は中国(69%) がトップだ。インド との差は17ポイント、UKとの差は27ポイントと圧倒的な強さを見せた。しかし2017年の最終予想はインドが80%まで伸び、中国を3ポイント差で抑え首位に躍り出ると予想されている。

決済・送金サービスに次いで急成長を遂げた保険サービス の普及率では、既にインド(47%)が中国(38%)を追いぬいて世界一になっている。

2016年11月に実施された高額紙幣廃止を機に、インドにおける仮想通貨の流通量は急増している。政府の意図した不正資金流通の撲滅とキャッシュレス社会への促進は、それなりの効果を上げたといえるだろう。

気になるデジタル・ルピーの発行に関する最新情報は見当たらないものの、水面下で着実に準備が進んでいるのではないかと推測される。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

( FinTech online編集部

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