ボジョレーヌーボーの人気やイタリアンレストラン、フレンチレストランの増加、赤ワインの健康効果が話題になるなど日本でもワイン文化が定着しつつある。食事の際にワインをたしなむ人も少なくないだろう。

ワインの魅力を引き出す上で欠かせないアイテムが、ワイングラスである。有名メーカーのものでは、ペアグラスで5~6万円の値段がつくものも珍しくない。

他にはない特徴的なその形にはどのような役割があるのだろうか。ここではワインを楽しむ際に魅力を引き立ててくれる、正しいワイングラスの知識を紹介したい。

ワイングラスの役割

ワイン,ワイングラス
(写真=Thinkstock/Getty Images)

ワイングラスには、ただワインを注いで飲むだけではなく他にも重要な役割がある。それは、ワインの色、香りなどをより繊細に味わう「テイスティング」を助けるというものだ。

ワインのテイスティングは苦味や甘み、酸味といった舌で味わう楽しみだけでなく、色味や粘性などの見た目を味わう楽しみ、品種や醸造方法、熟成具合により変わってくる香りを体験する楽しみ方という3つの楽しみ方がある。

ワイングラスはそれらの楽しみの邪魔をせずに、より分かりやすくする役割が求められるのである。

また、ワインは空気や熱など外部環境の影響を受けやすい飲み物でもある。そうした外からのストレスから主役であるワインを守ることも、ワイングラスの役目の一つといえる。

ワイングラスの特徴

ワイングラスは日本酒やウイスキーなど他のどのリカー用の食器と比較しても特徴的な外観を持っている。

丸く膨らんだ胴体は、まるでワインという液体を包みこんで守るような印象を受ける。それぞれの形や色などはワインを十二分に味わうためのものである。

・グラスの色

ワインのテイスティングではワインの色を見る。グラスを傾けることで、色の濃厚な中心の部分と薄い周辺の色を見ることができるので、凝縮度や熟成の度合いなどを微妙な色合いの違いで判別することができる。

また、同じ産地のワインであっても、天候や原料、発酵具合により、同じ色にはならないことも珍しくない。そのため、ワイングラスの色は無色透明であることが第一に必要なのである。

ガラスに色がついていることはもちろん、グラスの見た目を飾るカッティングなどの装飾も、ワインを目で味わうことを目的とするのであれば避けるべきものといえる。また、余計な光の干渉を避けるためにグラスの厚みは薄く作られることも大切だ。

・形、各部の名称

ワイングラスは細くて長い脚を持ち、グラス本体の胴が膨らみカーブしている独特の形状が特徴的な食器である。

各部分には名称があり、飲み口にあたる一番上部の部分は「リム」、ワインが注がれる本体の部分は「ボウル」、ボウルから下にのびた脚の部分は「ステム」、土台になりグラスを支える部分は「フットプレート」と呼ばれている。

・耐久性

注いだワインを目で見て楽しむために、ワイングラスは透明に薄く作られている。

ワイングラスの作り方には大きく分けて2つある。ガラスを薄く延ばして作る方法と、ガラスに鉛などを混ぜたクリスタルガラスと呼ばれるものを使う方法がある。クリスタルガラスは普通のガラスに比べて強度があり、屈折度が高いのが特徴だ。透明度が高く、薄く作ることができる。

とはいえ、ワイングラスはウイスキーグラスや日本酒の猪口などに比べると耐久性は低く、あまり長期的な使用や保存に向く食器ではない。衝撃にも強くはないため、家での保存には細心の注意が必要だといえるだろう。

・ワインのテイスティングとグラスの関係

ワインを味わう時には、味わいだけでなく、香りや色味を味わうといった楽しみ方をするというのは前述した通りである。

実際にテイスティングを行う場合には、注がれたワインを明かりにかざしてその色を、ワイングラスをスワイリング(グラスを回すこと)することでその粘性を見る。

次いで、グラスを鼻の下に持ってきてその香りを楽しむ。粘性を見るために行うスワイリングは、同時にワインの香りを開かせる効果も持っている。

そして、ワインを口に含み、舌の各所で酸味や甘み、苦味などを味わうのだ。もちろん、口の中に含んだテイスティングの際にも香りを感じることができる。

こうしたワインを味わうテイスティングの際に重要になってくるのが、ワイングラスの色や形状だ。ワインが注がれるボウルの部分の透明度により、色や粘性を正しく見ることができる。

ボウルの形やリムの大きさで、香りの拡散度合いや口に含むワインの量が変わってくる。ワイングラスにより、見た目・香り・味のテイスティング全てに影響が出てくるのである。

ワイングラスはテイスティングの際、ボウルから伸びたステムを持つが、こうすることで手が邪魔にならずに色や粘性を見ることができる。

また、ワインは温度の影響を受けやすい飲み物といわれている。ステムの部分を持つことで、手の温度による影響をワインに与えないというメリットもあることを覚えておきたい。

・ワインの飲みごろの温度とグラスの関係

冷やしたビールがおいしいように、ワインにも飲みごろの温度がある。よく「赤ワインは常温で、白ワインやスパークリングワインは冷やして飲む」という表現を見かけることがある。

しかし、実際にはワインの本場フランスでも外気が30度を超えることは珍しくない。そのため、常温という表記は一般的な室温という概念とは若干違ってくる。

赤ワインに適した温度は、上質なものであれば18度、白ワインであれば12度、ロゼであれば10度前後、スパークリングワインであれば4度~8度くらいの温度が飲みごろとされている。

グラス越しに伝わる手の温度を気にするのも何となくうなずけるだろう。飲みごろの温度を邪魔しない配慮がされているのである。

更に海外では赤ワイン、白ワインなど種類による違いのほか、原産地の違いによる香りや味の違いにも配慮してワイングラスが作られてきた歴史がある。

ワイングラスの種類

ワイングラスはボルドーやブルゴーニュなど産地ごとのワインに適したグラスが作られている。ワインの種類により、香りの広がりや味の濃さが変わってくるためである。

また、ワインのプロがテイスティングに使う場合に使用する国際規格に基づいたグラスも存在する。グラスメーカーごとに細かな種類が存在するが、大きく分けると以下のようになる。

・キャンティ型

イタリアのキャンティ地方で生産されるワインに適したキャンティ型のグラスは、テイスティング用のグラスより少し大きめで、多くのレストランでワイングラスとして使われているのが特徴である。

赤ワインよりもあっさとした口当たりが特徴の白ワインのほか、ロゼワイン、軽めの赤ワインなどにも適しており、万能タイプのワイングラスといえる。

・ボルドー型

一般的なワイングラスよりも大きめに作られているのがボルドー型グラスの特徴である。普通のグラスが150ml程の容量であるのに対して、ボルドー型は300ml~400mlの容量がある。

渋みが強く、濃厚でコクのある味わいの、いわゆるフルボディと呼ばれる赤ワインなどに適しているグラスである。

・ブルゴーニュ型

キャンティ型やボルドー型のワイングラスに比べ、ふっくらと丸い形をしているのが特徴である。ワインが空気に触れる面積が大きくなるため香りを引き出しやすい。赤ワイン、白ワイン療法にも使いやすいグラスである。

・モンラッシュ型

白ワインの名産地であるモンラッシュ地方の名を冠しているこのグラスは、ボルドー型やキャンティ型など他のタイプに比べてボウルの部分が丸く大きいという特徴がある。

モンラッシェ地方は白ワインの名産地として知られている。コクのある高級な白ワインには最適だろう。

・フルート型

シャンパーニュグラスとも呼ばれ、幅が細く、高さのある特徴を持つグラスだ。主にスパークリングワインを飲む際に使用される。リムの直径が狭く作られていることも特徴の一つである。

・テイスティング用グラス

ワインのプロがテイスティングする場合に使われるグラスで、ISO(国際基準協会)により形や寸法が定められている。

衝撃に強く作られているので、食器洗浄機の使用も可能なタイプがある。そのため、飲食店で見かけることもあるタイプのグラスである。

ワイングラスの選び方

以上のように、ワイングラスにはさまざまな種類がある。種類ごとにグラスが作られている理由もお分かり頂けたと思う。

当然ながら、赤ワイン、白、ロゼ、スパークリングワインの全てをテイスティングできるグラスは存在しないといえるだろう。ワインのタイプにより必要な形が変わってくるためであることはいうまでもない。

ワインを本格的に楽しみたいのであれば、ワイングラスは目的別に4種類は用意したいところだ。

レストランで見かけることの多いキャンティ型のグラスはあっさりとした白ワイン用に。赤ワインに向いているボルドー型のグラス、赤ワインよりもボディの軽いワインの香りを引き出しやすいブルゴーニュ用のグラスも揃えたいところだ。

スパークリングワイン用のフルート型のグラスは細長く、リムの幅が狭く作られているため、泡が長く持続するのが特徴である。ほかのグラスとタイプが違うこのグラスも揃えておきたい。

多くを揃えることが難しい場合は、せめて赤や白のワインとスパークリングワインは分けたい所である。汎用性の高いグラスでもあるキャンティ型とスパークリング用のグラスは最低限必要であろう。

ワイングラスの有名メーカー一覧

ワイングラスにも定番と呼ばれる有名なブランドが存在する。それは長年の技術と高い品質が評価されているためである。

ワインは元々海外の文化であり、有名なブランドも当然海外のものが多いが、日本のブランドも健闘している。ここでは主な海外のブランドと共に、日本のブランドも紹介してみたい。

・バカラ

1764年にフランスのバカラ地方で設立されたのが、高級ブランドのバカラだ。フランスだけでなく、日本の皇室でも御用達とされるなど、その高い品質には定評がある。

クリスタルガラスの最高峰とされるメーカーで高い知名度を誇るブランドである。「アルクール」や「マッセナ」などのラインナップが人気で、食器というよりも宝飾品と呼びたい程の逸品が揃っている。

・リーデル

オーストリアに本社を構えるリーデル社は1756年創業の老舗メーカーの一つ。ワインの原産地や品種に合ったグラスを提供することをモットーにしている。

ニューヨーク近代美術館に展示されるなど、実用品の枠組みを超え、芸術品として評価されるなど高い品質を誇っている。

ソムリエシリーズという高級タイプだけでなく、「オヴァチュア」「ヴィノム」「ワイン」といった手ごろな値段のシリーズもラインナップされている。

・ショット・ツヴィーゼル

ドイツのグラスブランドであるショット・ツヴィーゼルの創業は1872年。高い耐久性で各国の有名レストランや高級ホテルで利用されている。

熟練した職人がハンドメイドで作り上げるグラスのほか、機械を使用して生産するリーズナブルな「ショット・ツヴィーゼル」という銘柄が人気になっている。

・ロブマイヤー

1823年創業のブランド、ロブマイヤーはオーストリアのハプスブルグ家の高い評価を受け、王室御用達のブランドとして選ばれたブランドである。

現在では国賓向けのギフトや各国のオーストリア大使館でも使用されている。長いステムが特徴的な「バレリーナ」シリーズが人気となっている。

・木村硝子店

1910年創業の国内のグラスブランドが木村硝子店だ。スロヴァキアのロナという会社とも提携してワイングラスを販売している。価格が比較的安く「サヴァ」「ピーボ」シリーズなどハンドメイド品でも約4000円と手頃である。

日本にもワインをより楽しむ文化を

実は、日本にワインが伝わったのは室町時代後期といわれており、その歴史は意外と長い。
明治の文明開化、戦後の高度経済成長による海外文化の広まり、昭和のバブル期などを超えて、ワイン文化は多くの人に浸透してきている。

しかし、まだワイングラスやテイスティングにまでこだわって楽しむ人は多くないのではないだろうか。

まずは一般的なキャンティ型とスパークリング用の2種類のグラスを用意して、気軽にテイスティングを楽しんでみてほしい。

海外のように、産地ごとに特徴的なワインを作り、それに合わせたワイングラスを作り上げるのは、ワインという文化を育てる上でとても理にかなった方法であるといえる。

日本にも甲州や十勝などワインの産地はいくつかある。海外のように、ワインの作り手、器の作り手、消費者や愛好家が一体となってワイン文化を作り上げることができれば、日本でもいずれ、より成熟したワイン文化が育つかもしれない。(ZUU online 編集部)

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