四国と淡路島を結ぶ本州四国連絡道路の大鳴門橋で、兵庫県南あわじ市が鉄道用に建設され、利用されないままになっている橋の下部を観光活用するための調査を始めた。兵庫県の井戸敏三知事とは意見交換を進めている。

橋の下部のうち、徳島県側は海上遊歩道の「渦の道」が整備され、鳴門海峡観光の目玉施設として多くの観光客を集めている。南あわじ市は淡路側にも目玉となる施設を設け、鳴門海峡へ訪日外国人観光客らを呼び込みたい考えだ。

四国新幹線通過予定部分をトロッコ列車か遊歩道に

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(写真=PIXTA)

1985年に開通した大鳴門橋の下部には、将来の四国新幹線整備に備え、鉄道の通る部分が整備されている。しかし、明石海峡大橋が1998年、道路単独橋として開通したため、鉄道部分は利用のめどが立たないまま放置されてきた。

大阪や京都など関西には近年、大勢の外国人観光客がやってきている。南あわじ市はこれを淡路島へ呼び込むため、大鳴門橋下部の鉄道部分を観光目的で暫定的に活用しようと考えた。

兵庫、徳島の両県は世界最大級といわれる鳴門海峡の渦潮を世界遺産に登録しようと、推進協議会を設置している。大鳴門橋の観光利用を促進し、大勢の外国人観光客に紹介することで運動を後押しする狙いもある。

南あわじ市内部では、短区間のトロッコ列車運行、遊歩道の設置など楽しみながら橋上から渦潮見物できる施設を求める声が出ている。守本憲弘市長は国土交通省を訪れ、構想を伝えたほか、井戸知事とも会合で意見交換した。

だが鳴門海峡は風が強く、新たな構造物の設置が強度に影響することも考えられる。南あわじ市は今後、橋を管理する本州四国連絡高速道路や、既に渦の道を設置した徳島県などと意見交換したい考え。さらに、採算面の検討を進めるとともに、設置後の運営方式などについて周辺自治体や民間団体と協議することも視野に入れている。

南あわじ市ふるさと創生課は「現在はまだ構想段階だが、大鳴門橋に新しい観光施設ができれば人の往来がより活発になる。地元の観光振興だけでなく、鳴門海峡の世界遺産登録にも追い風になるのではないか」と意欲を見せた。

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