よい保険を見分ける条件は、「一定期間の保険」「シンプルな保険」「貯蓄性がない保険」「コストパフォーマンスがいい保険」「途中で変更できるなど使い勝手がいい保険」であることです。これに当てはまる保険として5つの保険を紹介します。もちろん家庭の状況、収入など保険商品を買う人の立場は千差万別ではありますが、一般家庭においての大きなリスクといえば「死亡」という事態です。これに対応する保障として、死亡保険を4つ。そのなかで、収入保障保険と定期保険を2つずつ選びました。病気などに対するリスクは、大きなリスクになる「がんの自由診療」に対応する保障を選んでいます。

(本記事は、長尾義弘氏の著書『 保険はこの5つから選びなさい 』河出書房新社(2016年3月5日)の中から一部を抜粋・編集しています)

おすすめできる保険5選

保険はこの5つから選びなさい
(画像=Webサイトより)

・収入保障保険損保ジャパン日本興亜ひまわり生命「家族のお守り」

収入保障保険は各社が出していますが、そのなかでもこの商品は、保険料が割安に設定されています。保険会社の定める範囲内で、かつ1年以上タバコを吸っておらず、BMI値、血圧値が一定の基準値を満たすことができれば、保険料はさらに31%割安になる場合もあります。健康な人に対しては、有利な保険料が適用されているのです。

また、保険料の支払い方に「だんだん減」という逓減払込方式があります。保険料が5年ごとに約5%ずつ減っていくのです。保険期間にかかわらず最後の5年間は50%相当額になります。保険の変更ができる点も使い勝手がいいでしょう。収入保障保険ですが、健康状態にかかわらず、一定条件のもと途中で終身保険、または定期保険に変更ができます。最低保証期間は2年または5年ついています。これは最低保証期間2年ですと、保険期間満了まで2年を切った時点で死亡したときでも、年金は2年間受け取ることができるという仕組みです。同じ収入保障保険であっても、最低保証期間がない商品もあるのです。

がん、急性心筋梗塞、脳卒中で所定の状態になった場合は保険料を払わなくてもいい、特定疾病診断保険料免除特約もあります。三大疾病生活費支援というオプションもつけられます。これは、がん、急性心筋梗塞、脳卒中で所定の状態になった場合、特定疾病年金を2年間、毎月受け取ることができるというものです。

・収入保障保険オリックス生命「キープ」

「家族のお守り」は、非喫煙者で健康優良体の人には割安なのですが、逆にいえば喫煙者にとっては不利になります。その点、オリックス生命の「キープ」は、非喫煙者・喫煙者、健康体などで保険料をわけず、すべて一律です。保険料も相対的に割安になっています。この商品も保険期間の途中で、健康状態にかかわらず、保険契約を変えることができます。また、1年または5年の支払保証期間があります。

がん、急性心筋梗塞、脳卒中により所定の状態になった場合は、そこから先は保険料を払わなくてもいい特定疾病保険料払込免除特則もあります。「キープ」の特徴としては、年金月額上乗特約があげられます。5年または10年の間、保障を増やすことができるのです。たとえば、教育費がかさむ一時期だけ、保障を厚くすることが可能になります。

・定期保険メットライフ生命「スーパー割引定期保険」

喫煙の有無、BMI値、血圧の数値によって、保険料の区分が4種類にわけられています。健康状態がファーストクラス(非喫煙優良体)ならば、スタンダードとくらべて、保険料が最大約52%安くなります。非喫煙優良体の人にはお得です。保険期間は10年タイプと20年タイプがありますが、更新のときには最初に申し込んだクラスが適用されます。つまり、最初に非喫煙優良体で加入していれば、10年後に血圧が高くなっていたり、タバコを吸っていたとしても、非喫煙優良体の保険料で更新ができます。

死亡保険金は500万円から5000万円まで選択可能。不慮の事故で所定の身体障害状態になると保険料が免除になります。喫煙の有無は、2年以上タバコを吸っていないことが条件になります。

・定期保険オリックス生命「ファインセーブ」

一定期間、同じ金額の保障を得ることができるのが定期保険です。掛け捨ての保険で、解約しても払戻金はありません。オリックス生命の「ファインセーブ」は、保険代理店、通販の両方で販売している割安な定期保険です。喫煙者・非喫煙者や血圧での区別の設定はなく、喫煙者にとっては有利な商品になっています。オリックス生命には「ブリッジ」という定期保険もありますが、こちらはインターネット専用の保険です。

これも健康状態にかかわらず保険期間の途中で、終身保険などに保険契約を変えることができます。保険期間は「歳満了」と「年満了」があります。「年満了」を選ぶと年齢によって保険料は上がりますが、更新時の健康状態にかかわらず、契約時の保障内容で更新ができます。また、「歳満了」には、がん、急性心筋梗塞、脳卒中により所定の状態になった場合は、保険料を払わなくてもいい特定疾病保険料払込免除特則もあります。

・がん保険SBI損保「がん保険自由診療タイプ」

一般的ながん保険とは異なり、「自由診療」に対応した実損塡補タイプのがん保険です。同じような保険には、セコム損保の「自由診療保険メディコム」があります。がんは、他の病気にくらべて医療費が特別かかるということはありません。ただし、自由診療を選んだ場合は、その医療費がかなり高額になってしまうのです。約2人に1人はがんにかかるのですから、かなり高い確率です。そのときに満足のいく治療を受けるためには、高額な蓄えが必要になってきます。

この「がん保険自由診療タイプ」は、入院・手術など入院日数に関係なく、かかった治療費を無制限で補償してくれます。通院でがん治療を受けた場合は、通院日数に関係なく、がん治療にかかった費用を最大1000万円まで補償してもらえます。つまり、入院・手術、通院などにかかる治療費の自己負担は実質0円ですむわけです。「先進医療」を受けた場合でも、もちろん全額補償になります。

保険料を見てみると、けっして高くはありません。保険料は2種類あって、がん診断保険金の100万円をつけるタイプと、つけないタイプがあります。がん診断保険金をつけないのなら、最安値のがん保険だといえます。貯蓄の余裕が多くあるのなら、がん診断保険金はつけなくて大丈夫だと思います。保険期間は5年になっていて、5年ごとに保険料は上がっていきます。

ただし注意点もあります。自分から積極的に動かないと、保険商品の機能を十分に活かすことができないのです。日本の医療保険制度では、自由診療を選ぶと公的健康保険がつかえなくなり、なかなか自由診療に踏み切ることができません。また、放射線治療などは放射線科の分野。外科の医師が担当していると、簡単には紹介してくれない場合も多いでしょう。

もちろん、自由診療をつかわなかった場合も、自己負担ぶんの医療費は補償してくれます。つまり、がん治療の費用負担はゼロになります。でも、この保険が最大の効果を発揮してくれるのは、自由診療を受けたときです。自分でいろいろな治療法を調べて、積極的に行動を起こすような人には、強い味方になると思います。がんと向き合うとき、すこしでも克服の可能性があるのなら、その芽を摘まないでほしい。そんな願いを込めて、これを選びました。

ちなみに自由診療といっても、民間療法は適用されません。公的な専門機関が有効だと認めた治療のみです。5年更新の保険ですので、5年ごとに保険料が上がっていきます。ある年齢になった場合は、保険を更新しないという判断も必要です。

もしもの時の「個人賠償責任保険」は必須