金融庁と日経、Fintech協会によるFinTechをテーマにしたスタートアップイベント、フィンサム・ウィーク(FIN/SUM WEEK)が9月19日に開幕、22日まで東京・丸の内、大手町一帯で開かれている。

これまでを振り返ると、三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長が19日に講演、国内の事務作業の自動化やデジタル化を進めることで「9500人相当の労働量の削減を実現したい」と述べたほか、みずほフィナンシャルグループの山田大介常務が20日に登壇、円と等価交換できる仮想通貨「Jコイン(仮称)」創設の考えを表明している。

メガバンクグループに限らず、省庁やスタートアップ、ベンチャーキャピタル、シンクタンクの有識者らが出席、最新の事例を紹介したり課題・問題点に関する議論を披露したりしている。特にAI・人工知能に関連して行われたセッションを中心にイベントの内容を一部紹介する。(取材:濱田 優 ZUU online編集長)

AIを活用した資産運用支援はどうなる?

20日も、丸ビルほかで複数の施設で多数のセッションが行われた。一例を挙げると、パネルディスカッション「世界のフィンテック投資動向」、「ICOの実力 REAL POWER OF ICO」、ワークショップ「誰がために金のデータはあるオープンバンク、API、データポータビリティが作るこれからの社会」「AI X FINTECH ~ AI予測の最適利用と実務」「AIでバリューチェーン、お金の動きが変わる」などだ。

このうち「AI X FINTECH ~ AI予測の最適利用と実務」には、和泉潔・東京大学大学院 教授や荻野調Zaisan Net代表がそれぞれ登壇した。

財産ネットの荻野氏
財産ネットの荻野氏(写真=ZUU online編集部)

和泉教授は「人工知能技術を用いた金融テキストマイニングの紹介」と題して、金融テキストマイニングがどう行われているのか、技術的な枠組みや限界などについて紹介。AIによる資産運用支援の方向性として、AIは状況変化が少ない目先の予測は得意だが、マクロ・長期的な経済環境・状況は人間が予測する「人間とAIの混合」という形を提示。「ヒューマノイド型ではなくパワードスーツ型」であり、「人間対AIではなく、人間対人間&AI(の競争)となる」ことを示唆した。

荻野氏が代表を務める財産ネットはビッグデータ解析、統計分析、AIを中心とした最適化学習から、週間株価予報まで現実化し、自然言語認識可能なAIチャットボットを開発販売している。荻野氏はAIを活用した金融予測でよくある間違いとして、「AIを使ってランダムウォークからランダムウォークをつくっている」ことを指摘。データを入れればそれなりの解析結果が出てきて“見せかけの回帰”を作ることができるがそこには意味はないことから、AIを活用した予測に取り組もうと一度は他社に依頼した企業から、精度や使途に困って「(財産ネットが)二社目として」相談を受けることが多いと述べた。

APIに関する議論も行われた

本村、三部、山田の3氏
(左から)本村、三部、山田の3氏(写真=ZUU online編集部)