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Written by 平田和生 267記事

マーケット・コンパス

鳥貴族が「280円均一」を298円に値上げへ 業績・株価への影響はどうなる?

筆者の友人には酒好きが多い。それもただの酒好きではない。「安くて美味い」コスト・パフォーマンス重視の酒好きなのだ。

彼らはサイゼリヤ <7581> の「ファミレス飲み」や吉野家 <9861> の「吉呑み」、トリドール <3397> が運営する丸亀製麺の「飲み放題」の情報をいち早くキャッチしてきた。そんな居酒屋業界のトレンドに敏感な仲間たちが、いま熱いまなざしを向けているのが鳥貴族 <3193> である。

「とりあえずビール!」

鳥貴族,株価
(写真=Thinkstock/Getty Images)

サイゼリヤの値段は確かに魅力的である。なにしろグラスワインが税込みで100円なのだ。食べ物もイタリアンでありながらほとんどのメニューが199円から499円でオーダーできる。ただ、唯一の欠点はビールが399円とグラスワインに比べ高めに設定されていることだ。読者の中にも「とりあえずビール派」の人も多いことだろう。かけつけで生を2杯飲んでしまうとサイゼリヤのパフォーマンスの優位性は落ちてしまう。

すかいらーく <3197> グループもハッピーアワーを大々的に導入している。店舗ブランドによって差があるが、ビールは税別249円程度で平日限定の15時から18時までという設定が多い。ちなみに、ハッピーアワー以外の時間帯のビールは449円程度だ。一般的なビジネスパーソンにとっては時間的に恩恵は少ない。

一方、鳥貴族の価格設定はアルコールも食べ物も全部280円均一(税別)だ。しかも、ビールは2種類も提供。プレミアムモルツなら中ジョッキ、第3のビールの金麦なら大ジョッキでいずれも280円だ。焼き鳥も基本的に串2本で280円である。居酒屋なのに「お通し」がないのも筆者の周りでは好評だ。「とりあえずビール派」の人にとって、鳥貴族のコスパは圧倒的といえるだろう。

8月28日「暗黒の月曜日」

そんな筆者の友人たちに衝撃が走ったのは8月28日だった。鳥貴族が、10月1日から280円均一を298円に「6.4%の値上げ」を実施すると発表したのだ。天候不順による野菜の高騰と人手不足によるアルバイト給与のコスト増が主因のようであるが、4月施行の改正酒税法で大口消費者にとってはビールが実質値上げになったことが響いているとの指摘もある。実際、「ちょい呑み需要」で堅調なラーメン屋のハイデイ日高 <7611> も9月からビールを税込みで310円から330円に引き上げている。

コスパ重視の酒好きにとって、8月28日は文字通り「暗黒の月曜日」だったに違いない。ただ、筆者は「鳥貴族の株価も急落するのではないか…」と心配したが、実際は大幅に上昇する結果となった。株式市場では鳥貴族の競争力は18円程度の値上げでは落ちず、むしろ採算が改善することを期待した買いが集まったようである。

9月13日、同社は2017年7月期の決算を発表した。売上は19.7%増の293億3000万円、営業利益は「8.7%減」の14億6000万円。上場来初の営業減益だった。そう考えると値上げもやむを得ないところだろう。

もっとも、同社は10月1日からの値上げで、2018年3月期の売上は25.9%増の369億4000万円、営業利益は62.2%増の23億6000万円と大幅増収益の予想を明らかにしている。2期ぶりに過去最高益を更新する見通しだ。今期の大幅増益予想を受けて、翌14日の株価は買い気配で始まり、引け値は14.9%高の3075円となった。その後も連日買いを集め、19日には上場来高値の3355円を付けている。

鳥貴族は「安かろう悪かろう」ではない

鳥貴族の人気が高いのは安さだけではない。素材へのこだわりも相当なものだ。2014年から中期経営計画として「国産国消への挑戦」を掲げ、食材の国産化比率の向上に取り組んできた。国産国消とは「この国でつくられた食材をこの国で消費する」との意味だ。国産食材を使用することで、安心・安全かつ新鮮で美味しい料理を提供することを目指してきた鳥貴族。2016年10月には「すべての食材で『食品表示法で定められた国産基準』において国産化を達成」している。居酒屋の多くが輸入食品を使うことが多い枝豆やポテトフライでさえ、鳥貴族は国産というこだわりである。

焼き鳥の素材ももちろん国産だ。しかも、焼き鳥に関してはセントラルキッチンで冷凍して配送するのではなく、店毎に毎日一本一本串打ちをしているそうだ。鳥貴族については「安かろう悪かろう」という言葉は当てはまらない。

「安くて美味しい」料理とお酒で消費者は幸せな気持ちになれる。会社も利益が上がり、株価も上昇する。投資家ももちろんハッピーになれる。鳥貴族にはそんな「好循環」を期待したいところだ。

平田和生(ひらた かずお)
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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