国境なき医師団日本は「終活と遺贈に関する意識調査2017」と題したリサーチを行い、9月15日にその結果を公表した。遺産を法定相続人以外に譲り渡す「遺贈」についての意識調査であり、全体の61.6%が遺贈に前向きである等、関心が高まっている事が明らかとなっている。また、投資意向の高い人は遺贈に前向きな人が多い等、個々の属性別で遺贈についての意識に差がある事も分かった。
遺贈に前向きな人は6割強 投資家ではその比率は7割越え
2015年に相続税の基礎控除が大きく減額される等、相続に関わる話に無縁ではいられない人は増加している。そんな中、法定相続人以外の特定の個人や団体に遺産を譲り渡す「遺贈」に関する関心も高まっており、遺産を社会貢献の為に使う事の出来る方法としても注目されている。国境なき医師団日本ではそうした社会貢献の為の遺贈についての意識調査を行った。調査は7月11日~13日にかけてインターネット上で行われ、全国の15歳~69歳の男女1000名の有効サンプルを集計した。
大きな資産を保有していた場合、社会貢献の為の遺贈をしたいかを尋ねたところ、「遺贈をしたい」(11.1%)、「遺贈してもよい」(50.5%)の合計は61.6%となり、遺贈に前向きな人は6割を超える結果となった。男女・年代別に見ると、10代男性が82.0%と突出して高く、社会貢献への意欲の高さが窺えた。
ボランティアや寄付の経験者は社会貢献の為の遺贈に前向きな人が多いようだ。ボランティア経験者で遺贈に前向きな人は67.8%となっており、未経験者の58.0%より9.8ポイント高い。寄付経験者の場合、遺贈に前向きな71.2%となり、未経験者の55.6%と比べ、15.6ポイントも差がついた。遺贈が社会貢献の選択肢の一つとして意識されていると見られる。
また、投資意向の有無によっても、社会貢献の為の遺贈への意識に差があるという結果が出ている。投資意向のある人で遺贈に前向きな人は72.8%となった。投資意向の無い人の55.7%と比べると、実に17.1ポイントも差がつく結果となった。特に若年層でその傾向は強く、10代は82.2%、20代は78.2%、30代は78.1%と投資意向のある若年層では遺贈に前向きな人が8割前後に上った。若年層の投資家では、投資で成功した利益を将来的に社会還元したいという意識を持つ人が多いようである。