「別荘」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは軽井沢のような避暑地や箱根のような温泉地だろう。森の中や海のそばで、「避暑」や「レクリエーション」の目的で滞在するというのが一般的なイメージだ。

これは実際に別荘を所有している人にも同じことがいえるようだ。

自宅をはじめとした所有物を選ぶ際に、コストパフォーマンスとセンスの良さを重視し、無駄や他人と同じことを嫌い、自らのステータスにつりあったモノを、時間をかけて選ぶ。そのような人であっても、なぜか「別荘」となると先入観にとらわれてしまうらしい。冒頭に挙げた「軽井沢の別荘」のような場所を連想する人も少なくないという。

たしかに都心から離れた場所で、自分だけの時間を持つことは決して悪いことではない。そこにも多くの楽しみや魅力はあるだろう。しかしこれからの時代、むしろ別荘は都市近郊に求めるのも一計だ。

別荘の価値とは何か

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(写真=Velvet ocean/Shutterstock.com)

別荘も不動産である以上、保有するには不動産投資という観点を忘れてはいけない。その別荘の「資産価値」が、今後大きく上がらないまでも、大きく下がるようだと魅力は小さい。

購入する場所によっては、資産価値が下がる可能性は否定できない。日本の人口は既に減少している。海外の富裕層が好んで物件を買っているような特定の地域を除き、アクセスの悪い地域の不動産は評価が下がっていく可能性がある。

とはいえ、別荘を選ぶ上で大切なのは資産価値だけではない。自らが属しているコミュニティやネットワークで、関係性を一層深めるための緊密な空間として活用できるかどうかという視点も欠かせない。

資産を有し、社会的なステータスが高まれば、好むと好まざるとに関わらず人づきあいは多くなる。「自分の力だけで資産をつくった」と考える人は少なく、むしろ「周囲の大切な人たちに支えられ、その存在があったからこそ資産を築けた」との感謝の気持ちを抱く。そうした気持ちがまた人間関係の質を高め、ビジネスや投資に好循環を生み出す。

だから身近に付き合う人たちとの関係性をより深め、強めたいと考える。人脈は見境なく広げるより、限られた人としっかりと絆を深めたほうが良い場合もある。

そこで活用できるのが別荘だ。普段の仕事場や自宅など、日常から少し離れて、人間関係を深めるには別荘という空間は最適な場だ。親しい人はもとより、これから仲良くなりたい人を招き、もてなす。気の置けない仲間とだけつくった緊密なコミュニティでこそ生まれる関係がある。

こうした空間に集まる人たちは、ビジネスや投資の話題も豊富で、情報感度も高い。だから会話の中から新たなビジネスや投資チャンスのヒントが得られるかもしれない。ビジネス目的ではないコミュニティでできた関係だからこそ生まれるヒントがあるのだ。

別荘を都心や近郊に持つという選択

資産価値やそこで生み出したい体験や関係を考えると、別荘は都心から離れた場所に持つより、都市やその近郊に求めるのも一案ではないか。遠方過ぎて活用する機会の少ない別荘を持つのではなく、都心など近い場所に求めれば、多忙な人であっても気軽に、有効に活用できるだろう。

資産価値という点からみても、東京や京都などといった都市やその近郊に持つことに意味がある。特に東京(とりわけ湾岸エリア)は、日本でも数少ない有望地域と考えられる。

車を少し走らせれば行ける距離に別荘を持つという選択肢があってもいい。既にタワーマンションが建ち並ぶ東京の特定エリアこそが、こうしたコミュニティをつくるのに適していると考えている人たちもいるのだ。

時間という資本、人脈という資本の価値を最大化するために、都市近郊に別荘を持つことも選択肢のひとつではないだろうか。

(提供: The Watch

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